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偽関節は難治骨折とも呼ばれ、骨折した骨同士がくっついていない状態を指す。骨折の損傷がひどかったり、適切な治療が行われなかったりすると偽関節になりやすい。昭和大学横浜市北部病院(横浜市)整形外科の李相亮講師は「偽関節になる一歩手前の遷延癒合(せんえんゆごう)という段階で、適切な治療を受ける必要があります」と話す。
癒合が遅い場合は、専門の医療機関で適切な治療を
▽遅くとも6カ月で癒合
骨は再生能力が高い組織と言われ、骨折は通常、治療後3カ月、遅くとも6カ月でくっつく(癒合する)。3カ月たっても順調な癒合が見られない場合を遷延癒合、6カ月以上たっても癒合しない場合を偽関節と呼ぶことが多い。
偽関節の原因は、大きく分けて治療に起因するものと患者側に起因するものの二つがある。李講師は「骨折の治療には、ギプス固定などの保存療法と手術療法がありますが、ギプスの固定が不十分だったり、手術で入れたプレートが短い、スクリュー(ねじ)の本数が少ないなど、患部を固定する力が不足したりすると偽関節を起こしやすくなります」と説明する。固定の状態が悪いと、痛みが続いたり骨が変形して癒合したりする原因にもなる。
患者側の要因では、骨折時に骨が大きく欠けてしまった場合や、皮膚の外に骨が飛び出す開放骨折のように、衝撃が大きい骨折を起こすと、周囲の血管が著しく損傷して癒合が遅くなる。「他にも、喫煙や糖尿病が原因で患部の血流が悪くなったり、細菌感染が起きたりすると、癒合が遅れます」
▽治療は超音波や手術
治療開始から3カ月後に、X線検査などで遷延癒合と診断された場合は、患部に微弱な超音波を当てる低出力超音波パルス療法を行い、骨の癒合を促す。骨折直後から癒合の遅れが予想される場合は、手術後から同療法を行うこともある。「治療機器はレンタル式で、保険が適用されます。自宅で骨折部位に1日1回、1カ所当たり20分間照射します」と李講師。
ただし、患部の固定の状態が悪かったり、骨と骨の間の隙間が大きかったりすると効果が出にくい。この場合は手術に踏み切ることが多いという。手術では固定方法を変更したり、患者の骨盤などから骨を取り、隙間に移植する自家骨移植を行ったりする。
李講師は「偽関節は経験豊富な医師でも対応が難しいケースがあります。癒合が遅い場合は、専門的な治療を行う医療機関を紹介してもらってください」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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