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国内では成人のおよそ5人に1人が睡眠に対する悩みを抱えており、20人に1人が睡眠薬を服用しているとの報告がある。不眠症は今や国民病とも言われるが、睡眠薬の使い方を誤ると不眠症状が悪化する危険性もある。減薬や休薬につなげる適正使用のポイントを杏林大学保健学部臨床心理学科教授で同大学医学部付属病院(東京都三鷹市)精神神経科の中島亨兼担教授に聞いた。
不眠症の四つのタイプ
▽不安が不眠を助長
不眠症について、中島教授は「不眠(睡眠時間がいつもより短い)そのものではなく、眠れないという自覚があり、日中に心身の不調が出現し、日常生活に支障を来す症状を伴う状態です」と説明する。朝起きられない、多少でも眠気がある、記憶力や集中力が低下する、頭痛やめまいがあるなど心身のさまざまな不調が1カ月程度続き、日常生活に支障を来している場合、不眠症が一つの要因として疑われる。
ストレスや心身の病気、生活リズムの乱れなどが発症に関与すると考えられており、同教授は「最も多いのは、不眠が続くことで『きょうも眠れないのではないか』『あした起きられるだろうか』など睡眠への過度な不安やこだわりが、かえって入眠の妨げになり、不眠を助長します」と話す。
▽依存のリスクを減らす工夫
心身の不調が表れたら、睡眠専門医のいる精神科や心療内科を受診することが勧められる。不眠症と診断されると、非薬物療法と薬物療法をバランス良く取り入れた治療が行われる。
非薬物療法には、食事や運動など生活習慣の改善、就寝前の飲酒を控える睡眠衛生指導のほか、睡眠に対する思い込みや習慣を変えていく認知行動療法や、瞑想(めいそう)を習慣的に実践することで心身の健康維持を目指すマインドフルネスなどの心理療法がある。
一方、薬物療法として、不眠症のタイプ(入眠困難、中途覚醒、早期覚醒、熟眠困難)に応じて、睡眠薬や抗不安薬などが選択される。
かつて睡眠薬は一部で安易で適量を超えた処方がなされ、不眠症状の悪化などが報告されたことなどから、日本睡眠学会は2013年に「休薬」を見据えたガイドラインを作成。夜間の不眠症状の改善と日中の心身の復調が減薬や休薬の目安になることを示した。
中島教授は「睡眠薬の多くは就寝(直)前に服用しますが、一部の薬は効果が表れるまでに数時間を要します。そのため睡眠2~3時間前の服用を勧めています。そうすることで、自然に眠りに落ち、依存の危険性が軽減できます」と語る。こうした工夫により、より速やかな減薬や休薬が期待できるのだという。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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