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目の乾きに悩む人がいる一方で、涙があふれて困る人がいる。涙道閉塞症は涙の通り道(涙道)がふさがってしまう病気で、涙目の原因の一つである。涙道閉塞症の手術を数多く手掛ける横浜相鉄ビル眼科医院(横浜市)の松村望医師に診断や治療法について聞いた。
涙道閉塞症は涙道のどこかが詰まった状態
▽加齢やがん治療が関与
涙は上まぶたの目尻側にある涙腺から分泌され、目の表面を潤した後に涙道(目頭にある涙点から涙小管、涙嚢=るいのう、鼻涙管)を経て、鼻内へと流れる。涙道閉塞症では、4センチほどある涙道の中のどこかが狭くなったり詰まったりして、涙の流れが滞ってしまう。
最も多い症状は涙目だ。涙があふれたり、涙で視界がぼやけたりするほか、目の周りの皮膚がただれて目尻が切れることもある。炎症を起こすと目やにが頻繁に出たり、目頭が赤く腫れて痛みが出たりもする。
患者は高齢者、男性より女性に多いが、女性に多い理由は分かっていない。主な原因は加齢による変化で、他にはウイルス感染症、顔の骨折や外傷、涙道内やその周囲にできた腫瘍などがある。「最近では、一部の抗がん薬の副作用としての涙道閉塞症が注目されています」と松村医師。
▽体の負担少ない手術も
診断では、まず目に光を当て観察する顕微鏡で角膜や結膜の状態を確認してから、点眼薬の排出時間で涙の流れを診る色素残留試験を行う。涙道の詰まりが疑われれば、涙道通水検査で涙点から生理食塩水を注入して鼻まで通るかを確認する。
主な治療は涙管チューブ挿入術だ。涙道の詰まった部位を押し広げて、涙管チューブを挿入する。手術にかかる時間は、同院の場合は片目で15~20分程度。局所麻酔下で行い、痛みは少なく、日帰りが可能だ。一度に両目を手術するケースも少なくないという。挿入したチューブは外からはほとんど見えず、日常生活に制限はない。通常は2~3カ月後に抜き取る。
「2012年からは、涙道の詰まりを確認しながら手術できる涙道内視鏡を用いた涙管チューブ挿入術が保険適用となり、治療成績が上がりました」と松村医師。涙道内の詰まりが激しい場合、炎症(涙嚢炎)を起こした場合、再発時は、新たに涙道のバイパスを作る涙嚢鼻腔吻合(びくうふんごう)術を検討する。
「今は、涙道内視鏡を使った涙管チューブ挿入術のような体への負担が少なく有効な治療法があります。涙目くらいで大げさ、過去に治療したけれど効果が無かったなどと思わず、涙道に詳しい眼科医を受診してください。日本涙道・涙液学会のホームページ(http://lacrimal―tear.jp/facilities/)が参考になります」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/04/25 05:00)
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