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メラノーマ(悪性黒色腫)を含む皮膚がんの罹患(りかん)率は年々上昇している。メラノーマはメラニン色素を作る細胞(メラノサイト)のがんで、多くは皮膚に発症するが、メラノサイトが存在する脳や網膜、膣(ちつ)などでも発症する。水嶋神経科皮膚科医院(東京都杉並区)の水嶋淳一院長は「メラノーマはほくろに似ていますが、区別するポイントもあります」と話す。
ダーモスコピー検査で早期の診断が可能
▽ほくろと異なる特徴
国内でメラノーマと新たに診断される人は、年間で100万人当たり10~20人とされる。若い人でも発症するが60歳以上に多い。進行した場合、5年間の生存確率は約10%と低いが、皮膚表面(表皮)で早期に発見できれば命を落とすことはない。
進行すると、転移の可能性がある。また、他のがんと同様に急速に進行するタイプと進行が遅く長期間表皮にとどまるタイプがある。つつくなどして刺激を加えると進行が速まる場合がある。
メラノーマはほくろのように見えるが、ほくろは左右対称で辺縁の境界が明瞭、色調が均一。一方、左右非対称、境界がギザギザや不明瞭、色調が不均一であればメラノーマの疑いがある。
「良性のほくろからメラノーマになるのは極めてまれですが、ほくろの一部が濃かったり黒、茶色、灰色など色むらがあったり、大きさが6ミリ以上や、一部が盛り上がってきた場合はメラノーマが疑われるため注意が必要です。また、日本人は足の裏に発症する頻度が高いことも知っておくとよいでしょう」
▽簡単な検査で判明
20年ほど前までは、メラノーマが疑われるほくろはすぐに切除するか組織を顕微鏡で検査していた。現在は強い光を当てて特殊な拡大鏡で診る「ダーモスコピー検査」で、簡単にがんを鑑別できるようになった。
この検査は皮膚科専門医がいる病院であればどこでも受けられる。治療は、早期であれば外来で患部の切除が可能だが、進行すると抗がん薬を用いた化学療法などが必要になる。
水嶋院長は「メラノーマは早期であれば怖いがんではありません。ダーモスコピーで簡単に検査ができるので、疑わしいほくろを見つけたらつついたり、ちゅうちょしたりせずに近所の皮膚科専門医を受診しましょう。紫外線を避けることも大切です」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/10/25 05:00)
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