治療・予防 2024/12/27 05:00
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9人に1人の日本人女性が乳がんを発症する中、2013年に乳房再建術が保険適用となった。一方、最近はあえて再建をしない「Going Flat」という生き方も注目されている。昭和大学病院(東京都品川区)乳腺外科の垂野香苗医師は「再建して満足する方もいれば、そうでない方もいて、個人差があります」と話す。
再建するか否かを含め、事前によく検討することが大事
▽多様な選択肢
乳がんの治療法には、発見時のステージやがんのタイプなどによってさまざまな選択肢がある。早期発見で腫瘍の広がりが限られている場合、がんと周囲乳腺組織を摘出する乳房温存手術を選択できる場合もあるが、がんの位置や範囲によっては早期発見でも全摘術が必要となる。
同科では、乳房全摘術後に再建術を選ぶ人が保険適用後に急激に増加。しかし、19年に一部の人工乳房が悪性リンパ腫と関連するとの報告で自主回収され、一時減少した。その後、新しい挿入材で再開したが、選択する人は減少傾向という。
乳房の再建例を写真で見ても、立体感や触感、質感が伝わらず、再建しても結果に満足できずに悩む人、治療法を選択できずに迷う人は多い。そこで同科では3年前から月1回、再建術を考えている患者対象に、形成外科医、看護師による勉強会と再建術経験者の乳房を実際に見たり触ったりできる会合「びばぼ」を開催している。
「再建するつもりだったがやめた」「やはり再建したい」など、年齢にかかわらず自身の価値観で、納得して決断する人が増えたという。
▽再建しない選択も
乳がんの手術は、再建までが治療だという考え方が主流だった。しかし、早くから乳房再建が保険適用されている米国では、全摘術後のままの「Going Flat」の姿をソーシャルメディアで公開する女性が話題を呼んでいる。
「早く回復したい」「体の中に人工物を入れたくない」「再建したものの感染症を繰り返し、シリコンを除去した」など、再建しない選択をした理由はさまざまだ。
垂野医師は「まずは乳がんの治療を最優先に考えましょう。再建はあくまでもオプション。治療後に落ち着いてからでも可能です。後々後悔しないよう、自分に何が必要かを事前によく考え、納得のいく選択をしてください」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/09/12 05:00)
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