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小麦に含まれるグルテンというタンパク質が原因で、下痢や全身の倦怠(けんたい)感などが表れるセリアック病やグルテン不耐症。小麦を食べる機会が増えた現代日本では、まれな病気とは言えなくなったという。札幌医科大学付属病院(札幌市)消化器内科の仲瀬裕志教授に聞いた。
▽原因は「グルテン」
セリアック病は、体の免疫がグルテンに過剰反応することが原因だ。免疫を担う細胞が小腸の粘膜を攻撃して炎症が起き、さまざまな栄養の吸収が阻害され、下痢、おなかの張り、全身の倦怠感、体重減少、貧血などの症状が表れる。炎症が数十年にわたって続くと、がんが発生する恐れも指摘されている。
セリアック病は欧米では有病率が高く、人口の約1%とされる。小児のほか成人にも見られる。国内では、グルテンへの過剰な免疫反応に関わる遺伝的素因を持つ人がまれなこと、欧米よりも小麦の消費量が少ないことから、極めて少ない病気と考えられている。
ただ、今の日本人の食生活ではパンやパスタなどを食べる機会が増えている。仲瀬教授は「はっきりとしたことはまだ分かりませんが、食生活の変化に伴い、セリアック病やグルテン不耐症の患者さんは増えているかもしれません。症状があっても受診していないか、適切に診断されない患者さんがいるのではないでしょうか」と指摘する。
例えば、腸自体に病変はないものの、ストレスなどで下痢や腹痛が表れる「過敏性腸症候群」の患者に、セリアック病やグルテン不耐症が含まれている可能性があるという。
▽小麦類を避けて
セリアック病の治療は、グルテンを含む小麦やライ麦、大麦が原料の食品を避けること。2週間程度で症状が改善するという。こうしたグルテン除去食は管理栄養士などの指導の下、他の栄養素の過不足に注意して行う。1年くらい続けて症状がなくなれば、少しずつ除去食を減らす方法もある。それでも治らない場合は、ステロイド剤や免疫抑制剤で過剰な免疫反応を抑え込む。
仲瀬教授は「下痢を繰り返し、おなかの張りが続くが、原因が分からない場合はグルテンの関与を疑うことも必要です」と話す。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/10/14 05:00)
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