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抗がん剤治療に伴う好中球の減少で起こる発熱性好中球減少症(FN)になると、感染症が重篤化しやすい。国際医療福祉大学三田病院(東京都港区)悪性リンパ腫・血液腫瘍センターの畠清彦センター長は「FNは抗がん剤治療そのものにも影響を与えるので、事前の予防が重要です」と話す。
患者の背景やがんの状態、抗がん剤の種類などによりリスクはさまざま
▽白血病で約9割発症
好中球は白血球の一つで、血液1マイクロリットル(0.001ミリリットル)当たり1500個以上存在する。細菌やウイルスを排除したり、傷を治したりする。
抗がん剤治療の開始で好中球が減少、7~14日後に最少となり、その後少しずつ回復する。FNを発症すると、発熱とともに好中球の減少が著しくなる。
畠センター長は「体温が脇の下で37.5度以上、口腔内で38度以上あり、好中球が500未満、または1000未満で48時間以内に500未満になることが予想される場合、FNと診断します」と説明する。抗がん剤治療の1回目に多く、約5人に1人の割合で発症する。
患者の年齢や基礎疾患、病変部位やステージ、抗がん剤の種類などでリスクは異なる。「造血機能が低下する白血病では、85~95%の割合でFNを発症すると言われています」
▽リスクの芽を摘む
FNの場合は原因菌の特定と感染部位の検査などを行い、重症化予測と治療指針のMASCCスコアが付けられる。高リスクの場合は入院、低リスクなら外来で服薬治療となるが、容体の急変に備えて、病院との連絡や来院の足を確保しておく必要がある。
FNは重篤化して敗血症や肺炎などを起こすと生命の危険もあるため、並行して治療も行う。MASCCスコアに基づき、幅広い原因菌に対応する抗菌薬が使われる。
抗がん剤治療は何回か繰り返すため、初回時にFNを予防することが極めて重要。このため「抗がん剤治療の開始前に、虫歯や歯周病、痔の治療、肺炎球菌や緑膿菌ワクチンの接種などを行い、感染経路や感染源を徹底的に遮断することが必要です」と話す。
急性骨髄性白血病以外では、好中球の減少を防ぐ顆粒球コロニー刺激因子(G―CSF)製剤を併用すると、FNの発症を3分の1以下に抑えられるという。
畠センター長は「FNの予防は抗がん剤治療の効果にも影響します。主治医と相談して、事前準備をしっかりと行ってください」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/10/30 05:00)
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