治療・予防

無症状で進行―慢性リンパ性白血病
血液検査値で異常あれば受診を(東京慈恵会医科大学付属病院腫瘍・血液内科 矢野真吾教授)

 白血病は血液がんの一種で、微熱、息切れ、全身倦怠(けんたい)感、出血しやすいなどの症状がよく見られるが、発症初期に症状がほとんど表れないタイプのものもある。国内ではまれとされる慢性リンパ性白血病(CLL)だ。健康診断や他の病気の血液検査で異常を指摘された際に初めて診断される場合も少なくない。

慢性リンパ性白血病(CLL)で見られる血液検査値の異常と表れる症状

 ▽高齢男性に多く発症

 白血病は赤血球、血小板、白血球といった血液細胞が、骨の中心部にある骨髄で作られる過程でがん化し、無制限に増える病気だ。がん化する血液細胞の種類や成熟度により、CLLを含めて四つのタイプに分類される。

 CLLの特徴について、東京慈恵会医科大学付属病院(東京都港区)腫瘍・血液内科の矢野真吾教授は「がん化した成熟Bリンパ球が骨髄やリンパ節、脾臓(ひぞう)などでゆっくり増え、血液検査でリンパ球数が異常に多くなります」と説明する。

 欧米では最も多いタイプの白血病だが、日本では白血病全体の数%にすぎず、年間発症者数は300人程度。60歳以上の高齢の男性に多い。原因は不明だが、「欧米に移り住んだ日本人で増えていないことから、環境因子よりも遺伝的な要因が関わっていると推測されます」と矢野教授。

 ▽経口の分子標的薬が登場

 進行すると、全身倦怠感、発熱、体重減少、貧血などに加え、首や脇の下、脚の付け根などにリンパ節の腫れ(腫脹)が見られる。これはCLLに特徴的な症状で、矢野教授は「痛みはなく、腫脹は徐々に増大します。脾臓が腫れて腹部が膨れる症状も報告されています」という。病気による症状が表れたり、Bリンパ球の増殖が速くなってきたりしたら治療を始めるが、それ以外は経過観察となる。その理由について、「CLLは他の白血病より経過がゆっくりですし、早期の段階で治療しても生存期間の延長は得られないためです」と矢野教授は話す。

 従来の治療法は抗がん剤の点滴投与が中心だったが、近年、有効性、安全性ともに優れ、経口で投与できる分子標的薬が使用可能になり、急速な進歩を遂げている。2016年にはBKT阻害薬イムブルビカ、2019年にはBCL―2阻害薬ベネトクラクスが登場し、治療成績の向上が期待されている。

 矢野教授は「CLLは適切な治療を受ければ症状は改善します。健診や人間ドックの血液検査で異常が見つかったら、症状がなくても、できれば血液内科医など専門医を受診しましょう」と呼び掛ける。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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