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土壌や水道水などに生息する原虫が黒目(角膜)に感染して引き起こすアカントアメーバ角膜炎は国内では1988年に初めて報告され、コンタクトレンズの普及とともに増加している。新宿東口眼科医院(東京都新宿区)の新川恭浩院長は「有効な治療薬が無く、進行すると失明につながりかねません」と注意を促す。
ついやってしまいがちな行為が感染リスクに
▽コンタクトに関連
アカントアメーバ角膜炎の症状は、目の充血や痛み、視力低下などで、9割以上は間違ったコンタクトレンズの使い方が原因だ。
角膜の表面は常に涙で覆われ、乾燥や細菌の感染を防いでいる。血管がないため、必要な酸素は涙から取り込んでいる。新川院長は「角膜がコンタクトレンズで覆われると、涙が行きわたらず酸素が不足します。すると、角膜のバリアー機能が壊され、細胞に傷が付きやすくなります」と説明する。
この傷が感染経路になり、免疫力が落ちていると、感染リスクは格段に上がるという。「コンタクトレンズを付けたまま寝る、使い捨てタイプを長期間使う、水道水で洗浄する、不衛生な手で装着するなどの行為は、全て感染につながります」
初期の症状は角膜ヘルペスと酷似している。特徴的なのは角膜の神経に沿って炎症が起こる放射状角膜神経炎だ。しかし大半は見過ごされ、角膜ヘルペスとして治療されているという。「処方されるステロイドや抗菌薬は、アカントアメーバ角膜炎には効果がなく、進行した状態で専門医に紹介されてくるケースも少なくありません」
▽特効薬なく
診断では、削った角膜の表面を顕微鏡で調べ、特殊な培養検査を行うが、治療も兼ねている。抗真菌薬と消毒薬の点眼薬が処方されるが、特効薬ではないため「病巣部を削る特殊な治療が必要になります」と新川院長。しかし、角膜内部まで進行するとこの治療は難しい。「慢性化すると失明につながる恐れがあり、早期発見、早期治療が重要です」と強調する。
予防について新川院長は〔1〕コンタクトレンズの使用期間を守る〔2〕専用の洗浄液を使う〔3〕レンズケースを定期的に交換する〔4〕清潔な手で装着する〔5〕1日の装着時間を12時間以内にする―を挙げている。「病気の怖さを理解して、再度コンタクトレンズの使い方を見直してください」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/10/31 05:00)
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