治療・予防

目的に合った目薬使用を~ドライアイ~

 涙が不足して眼球表面が乾燥してしまうドライアイ。「ものが見えにくくなる」「目がゴロゴロする」など日常生活の違和感だけでなく、悪化すれば視力を失うなど深刻な問題を引き起こすことがある。

山田昌和教授の資料より

山田昌和教授の資料より

 最も手軽な対策の一つに薬局で購入できる市販の点眼薬がある。しかし、実際の選び方や使用方法を間違うと、症状を悪化させることがある。また、使用を続けても症状が改善しない場合は、ドライアイ以外の問題を抱えていることも多いので、このような場合は眼科医の受診を考えよう。

 杏林大学の山田昌和教授(眼科)は「点眼薬の使い過ぎは涙の質を悪化させ、逆にドライアイを進行させてしまう。1回は片目に1滴ずつ、1日に5~6回までとしてほしい」と呼び掛けている。さらに、点眼薬の中には目の表面を覆う涙液に含まれる脂質成分を分解する作用のある防腐剤を含む製品が多い。「健康な目なら問題はないが、角膜が傷ついている場合は、症状を悪化させてしまうことがある。ドライアイに対しては、防腐剤が含まれていない点眼薬を適正な回数で使うことが望ましい」と話している。

目薬をさすプロ野球の球審

目薬をさすプロ野球の球審

 点眼薬購入時にもう一つ注意したいのが、使用の目的だ。「目やに、かゆみなどのアレルギー症状用の薬もあれば、点眼後の爽快感を強調して刺激が強い薬など、ドライアイ向けでない製品も多い。『乾き目に』『疲れ目対策』などとうたっているものを選んでほしい」と山田教授は話す。2週間使っても期待した効果が得られない場合は、店頭の薬剤師に相談して他の点眼薬に変更してみること、2種類以上でも効果が不十分な場合は、眼科医を受診するよう心掛けたい。「市販薬は基本的に一時的な症状緩和が目的。症状が長期に続く場合は、医師の診察を受けるのが基本」と山田教授は強調している。

 ドライアイと初期症状が似ていても、アレルギー性や細菌の感染による結膜炎などの疾患の可能性もある。「結膜炎などは適切な治療を受ければ、短期間で回復する。また、40~50歳以上になれば、白内障や緑内障の初期の疑いも考えられるので、注意が必要になる」という。

 より注意が必要なのが、コンタクトレンズを使用している場合だ。技術開発が進んで、酸素透過性などが向上して角膜への負担は軽減されているが、裸眼に比べればドライアイへの警戒はより必要だ。「コンタクトレンズ用の点眼薬を選ぶのはもちろんだが、毎日、帰宅から就寝前まではレンズを外して目を休ませるなど、目へのケアを習慣化するくらいの予防策が必要」と山田教授は指摘している。(喜多壮太郎)

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