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糖尿病患者が病気や生活習慣について学ぶことを目的とした「教育入院」と呼ばれる仕組みがある。期間は通常1~2週間だが、時間が取れない人向けに、週末だけに実施する医療機関も増えている。
短期間の入院でも、病気への理解を深めるきっかけに
▽正しい知識を学ぶ
「就職で研修があるように、糖尿病になった人に必要な研修をするのが教育入院です」と順天堂大学医学部付属順天堂医院(東京都文京区)糖尿病・内分泌内科の綿田裕孝教授は説明する。治療には食事・運動療法が欠かせないが、生活習慣の改善は難しい。正しい知識や方法を学び、血糖値をコントロールすることが教育入院の狙いだ。
「入院で食事療法を体験して、『ご飯(白米)をこんなに食べてもよかったんですね』と驚く人がいます。自己流で食事量を減らし、間食で糖質を取り過ぎていたなどの間違いを正せるケースもあります」と綿田教授。
運動療法では、ウオーキングや筋力トレーニングの正しい方法を学ぶことでけがが減り、効果も出やすくなる。同院では運動の前後に血糖値を測定し、実際に下がることを実感してもらう。効果が目に見えることで、動機付けになるという。
患者同士の会話も大切だ。病気の理解を深め、生活改善の意欲向上につながる。「患者さんに共通する悩みなどを語り合うことで、自分だけでなく、皆も頑張っていると気付いてもらえます」
▽病歴は幅広く
教育入院が推奨されるのは、糖尿病の診断を受けて間もない患者から、長年、血糖コントロールがうまくいっていない患者まで幅広い。生活習慣を改善しても血糖値が下がらない場合、血糖値を上げるコルチゾールというホルモンが副腎から分泌され過ぎるクッシング症候群などが潜んでいることがある。入院中の検査で判明することもあるという。
教育入院は健康保険が適用され、治療や検査の内容、保険適用外となる食事負担額などにより、費用は異なる。同院では1週間の教育入院は約17万円、土日の週末入院は約6万5千円で、高額療養費制度の対象になる。
「入院期間が長い方が教育効果は大きいですが、まとまった休みが取れない人は週末入院を入り口に、糖尿病の理解を深めていただくといいでしょう」と綿田教授はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/01/16 05:00)
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