新米医師こーたの駆け出しクリニック

糖尿病を生活習慣病と呼ぶの、もうやめませんか
~決して怠け者の病気ではありません~ 専攻医・渡邉 昂汰

 「糖尿病は、生活習慣の乱れが原因で発症する、怠け者がなる病気だ」

 糖尿病について、こんなイメージを持っている人は、まだまだ多いのではないでしょうか。実際の病態は大きく異なるのにもかかわらず、怠け者の烙印(らくいん)を押され、不当な扱いに悩んでいる患者さんが多くいらっしゃいます。

糖尿病は決して怠け者の病気ではありません【時事通信社】


 ◇「イメージ通り」の患者は多くない

 私は今年度から糖尿病外来を担当しています。患者さんの体型は、肥満から中肉中背、痩せ型まで、さまざまですし、食事・運動習慣に特に大きな問題がない人もいらっしゃいます。

 食べ過ぎや運動不足による肥満も、もちろん糖尿病発症の一因なのですが、血糖値を一定に保つホルモンであるインスリンが膵臓(すいぞう)からどれだけ分泌されるかが、発症に大きく関わります。

 このインスリン分泌の低下により、わたしの祖父も2型糖尿病を発症しました。食事に気をつけ、70歳でも懸垂ができるくらいの運動習慣があった祖父ですが、現在は血糖降下薬の内服治療とインスリンの注射治療を行っています。

 ◇遺伝が大きく関係する疾患

 インスリン分泌能は、アルコール耐性と同様に、個々の遺伝的要素が強く影響しています。さらに加齢や疾患によって低下します。

 世界的に見ると、そもそも日本人は欧米人と比較して、インスリン分泌能が低いことが分かっています。

 また、1131人の日本の2型糖尿病患者さんを対象にした研究では、家族歴のある人々(両親または兄弟の誰かが糖尿病)は、家族歴のない人々と比べて、優位にインスリン分泌能が低いという結果になりました(注釈)。

 糖尿病の発症には、遺伝的要素や加齢の影響も大きく、個人によって病気になりやすさが異なることがお分かりいただけたと思います。生活習慣に気をつけて、同じような生活をしていても、人によっては糖尿病を発症してしまうリスクは十分あります。

 糖尿病は、生活習慣によって改善する疾患ではありますが、生活習慣の乱れが最たる原因ではないということを、多くの人に知っていただき、不当な扱いに苦しむ糖尿病患者さんが少しでも減ることを強く願っています。

 注釈=(文献)Family history of diabetes in both parents is strongly associated with impaired residual β‐cell function in Japanese type 2 diabetes patients. Iwata M et al. Journal of Diabetes Investigation. 11: 564–572,2020

(了)

 渡邉 昂汰(わたなべ・こーた) 内科専攻医および名古屋市立大学公衆衛生教室研究員。「健康な人がより健康に」をモットーにさまざまな活動をしているが、当の本人は雨の日の頭痛に悩まされている。

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