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再発性性器ヘルペスの治療に、2019年にPIT(あらかじめ処方された薬を患者の判断で服用できる治療)が加わった。症状出現から受診後、5日間の処方薬服用という従来の治療に対し、PITは2回の服薬で済む。性感染症の診療に詳しい新宿さくらクリニックの沢村正之院長に、治療の最前線を聞いた。
再発状況や生活スタイルなどを総合的に判断して治療を選択
▽神経にウイルス感染
性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)の感染で起こる。性器の周囲に水疱(すいほう)やただれなどができるが、皮膚病でなく神経へのウイルス感染症だ。
感染するとHSVは生涯に渡って神経節に潜み続け、疲労や寝不足、ストレス、女性では月経前後などで体の抵抗力が低下すると再発する。頻度は月に数回から数年に1回とさまざまで、通常は加齢に伴い低くなる。高齢者は症状が尻や背中に出やすく、沢村院長は「寝たきりの人だと床ずれと間違われることもあり、介護の現場では接触感染に注意が必要です」と指摘する。
▽治療の基本は服薬
治療の基本は、ウイルス増殖を抑える抗ヘルペスウイルス薬の内服で、症状が出たらできるだけ早く飲み始めるのがポイントだ。ただ、症状が出てから受診する従来の治療だと、仕事などでタイミングよく受診できず、治療の機会を逃してしまう人もいるという。
そうした人にとって、PITのメリットは大きい。薬を常に携帯し、痛みやかゆみなどの違和感(前兆症状)が生じたらすぐに服用することで、軽い症状で済むことが期待できる。「前兆症状を自覚できる人にはPITが向いています」と沢村院長。
一方、再発を頻繁に繰り返す場合は、抗ヘルペスウイルス薬を1年間継続する再発抑制療法が勧められる。治療後も再発しにくくなるので、患者の生活の質は大きく向上する。治療法は再発の状況や生活スタイルなどを総合的に考慮して選択される。
性器ヘルペスは症状のつらさに加え、病気になったことへの後悔や再発の不安、パートナーへの罪悪感などから精神的なダメージを受けやすい。沢村院長は「誰もがかかる可能性のある病気。正しい知識を持って治療に臨めばコントロールできます。悩んだら専門医(日本性感染症学会の認定医)を受診してください」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/02/11 05:00)
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