治療・予防

口腔咽頭の性感染症
性器や皮膚に異常ない場合も

 性感染症とは「性器周辺に症状が表れる病気」というイメージを持っている人が多いのではないだろうか。しかし、梅毒やエイズウイルス(HIV)は口腔(こうくう)咽頭に最初の病変が表れることがあり、他の性感染症でも喉に感染する可能性がある。口腔咽頭の性感染症について、東京女子医科大学東医療センター(東京都荒川区)耳鼻咽喉科の余田敬子准教授に話を聞いた。

 ▽口腔咽頭に最初の病変

喉の痛みや不快感、性感染症の可能性も
 最近では、淋菌(りんきん)感染症や性器クラミジア、性器ヘルペス、尖圭(せんけい)コンジローマ、HIVの患者報告数は横ばい傾向だが、梅毒は2010年以降、急速に増加している。ただ、余田准教授は「当科で診療した口腔咽頭梅毒患者の多くが性器や皮膚に異常がなく、難治性の咽頭炎やへんとう炎として他病院から紹介されてきたものです」と指摘する。

 淋菌やクラミジア、初感染のヘルペスはくちづけなどで口腔咽頭に感染することがある。子宮頸(けい)がんを引き起こすヒトパピローマウイルス(HPV)も同様の経路で男性に感染して、中咽頭がんや口腔がんになる若者が増えている。

 梅毒は性器から感染した場合も、最初の病変が口腔咽頭に表れることがあるという。これは梅毒の病原体が血液の流れに乗って全身に移動するためと考えられている。

 「性的行動の多様化に伴い増えている口腔咽頭性感染症はコンドームだけでは防げません。性感染症は特定のパートナー以外の人と性交渉を持つこと、特にその相手が多いほど感染するリスクが高まります」と余田准教授。
 さらに、東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて訪日外国人の増加も見込まれ、「ジカ熱などの輸入感染症と並び、性感染症も増加することが懸念されます」とも話す。

 ▽不安な人は検査を

 性感染症に感染しても明白な症状が表れるとは限らない。口腔咽頭への感染では喉の違和感や咽頭痛などがよくみられるが、風邪や咽頭炎と間違われやすい上、気付かないうちに他人にうつしてしまう危険性もある。

 淋菌やクラミジアは感染直後から、梅毒とHIVは感染から1カ月後には陽性か陰性かの判定ができる。感染拡大を防ぐためにも早期発見・早期治療が重要だ。

 余田准教授は「特定のパートナー以外の人と性的接触があって不安を感じるなら性感染症の検査を受けるべきでしょう」と受診を促す。口腔咽頭の性感染症検査は専門医だけでなく、耳鼻科や内科でも可能な場合があるので、受診前に問い合わせたい。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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