性器ヘルペス〔せいきへるぺす〕 家庭の医学

 おもに単純ヘルペスウイルスが性器に感染することで、性器に浅い潰瘍または水疱をつくる性感染症です。一般的に、単純ヘルペスウイルスは1型がくちびるに、2型が性器に感染するといわれていますが、オーラルセックスなどの行為により、性器に1型が感染することもあります。
 単純ヘルペスウイルスは、感染しても無症状のこともありますが、いったん感染すると神経を上行して、神経節という脊髄(せきずい)の近くに潜伏感染します。この潜伏感染した単純ヘルペスウイルスが、なんらかの刺激によって活性化されると、ふたたび皮膚や粘膜に病変をつくります。

[症状]
 感染機会から2~10日後に、男性では亀頭、包皮(ほうひ)、陰茎(いんけい)に、女性では大小陰唇(いんしん)、腟(ちつ)に直径1~2mmの複数の水疱(すいほう:水ぶくれ)ができます。水疱は数日で破れて潰瘍になり、3週間程度で軽快します。
 性器ヘルペスは再発することが多く、再発時には、初感染時とほぼ同じ部位に水疱や潰瘍ができますが、症状は軽いことが多く、短期間で治癒します。再発する前に、外陰部の違和感や太ももから足にかけて神経痛のような痛みが出ることもあります。

[治療]
 抗ヘルペスウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビルなど)を内服することで、初発、再発ともに早く治癒させることができます。しかし、潜伏感染している単純ヘルペスウイルスまで排除することはできないため、抗ヘルペスウイルス薬で治療しても、再発する可能性は避けられません。

【参照】女性の病気:性器ヘルペス

(執筆・監修:東京大学大学院医学系研究科 泌尿器外科学講座 講師 亀井 潤)
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