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新型コロナウイルス感染症の第6波やインフルエンザの流行も懸念される中、今後もマスク着用は必須と言える。ただ、着用が習慣化すると口呼吸になりやすく、弊害も指摘されている。田中耳鼻咽喉科(大阪市福島区)の田中亜矢樹院長に聞いた。
▽鼻のフィルター機能
マスクを着用すると呼吸のしにくさから口呼吸になりやすいが、習慣化するとさまざまな弊害が起こる。「口から吸う空気は直接気管に入りますが、鼻からだと上咽頭に届くまでに鼻毛や鼻の粘膜によるフィルター機能が働き、加湿・加温されます。鼻から出る空気もこのフィルター機能で再吸収されるため、体の熱や湿気を逃しにくいのです」と田中院長。
明確な医学的根拠はないが、この機能の違いで鼻呼吸の方がウイルスや細菌の感染リスクを抑えられると考えられている。
▽過換気症候群にも
口呼吸は体内の加湿・加温された息を気管から直接吐き出すため、体の熱や湿気が奪われやすい。体が冷え、口の中や咽頭も乾燥しやすくなる。「口の中は唾液が減り、口内細菌が増えて歯周病にかかりやすくなります。歯周病は糖尿病などを悪化させる要因になることも知られています」
乾燥した空気が上咽頭に流れ込むことで上咽頭に炎症が起き、鼻の奥や喉の痛み、耳の病気をはじめ、「IgA腎症」と呼ばれる腎臓病などの原因となる慢性上咽頭炎が悪化するケースもある。
また、口呼吸は一度に多くの空気を吸い込めるが、それが過換気症候群を誘発する要因になり得る。同症候群は、手足のしびれや吐き気などの全身症状を引き起こす。マスク生活下でストレスがたまり、口呼吸で呼吸が浅くなっている人は特に注意が必要だ。
普段は自分で意識しにくいため、「時々舌先端だけでなく、舌打ちをするように舌をべったりと上顎に付けた状態で呼吸をしてみてください」。舌がべったり広く上顎に付いた状態では口呼吸ができないため、鼻呼吸を意識できるという。
夜間は口テープで就寝中も鼻呼吸ができ、睡眠の質も向上する。「鼻詰まりを起こす病気がある人や鼻の構造が原因で鼻呼吸がしにくい人もいます。気になる人は一度耳鼻咽喉科で診てもらいましょう」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/02/12 05:00)
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