治療・予防

口の渇きや痛みが生じるドライマウス
セルフケアとストレス軽減がカギ

 唾液の分泌量が減少することで口が渇く「ドライマウス」。虫歯や歯周病のリスクが高まるほか、舌の痛みや摂食嚥下(えんげ)障害を引き起こす場合もある。治療法やセルフケアについて、鶴見大学歯学部付属病院(横浜市鶴見区)口腔(こうくう)機能診療科の中川洋一准教授に聞いた。

 ▽全身の病気や薬の副作用が原因に

 唾液分泌が減少する要因としては、〔1〕糖尿病や腎障害など全身性・代謝性の疾患〔2〕うつ病や薬の副作用(神経性・薬物性)〔3〕加齢、シェーグレン症候群、放射線治療を受けたことによる唾液腺の機能障害―などが挙げられる。一方、唾液の量が正常なのにドライマウスを訴える例は、口呼吸により唾液の蒸発が増えたケースや心因性のケースがある。

 近年、ストレスによる自律神経の乱れや、抗コリン薬、抗精神病薬、抗不安薬などの薬剤の副作用によりドライマウスを発症する例が増えている。

 ▽保湿スプレーなどの活用を

 ドライマウスによる口腔内の乾燥に伴い、舌の痛みを訴える舌痛症になる人は少なくない。舌表面がひび割れたり、痛みにより、食事が取れない、または飲み込めない摂食嚥下障害や、話しづらいなどの問題が生じたりする。ストレスで知覚神経が過敏になると舌痛症が生じるが、食事中や物事に集中している間は症状が出ない。治療には抗うつ薬が有効とされている。

 ドライマウスで虫歯や歯周病になることもある。「唾液には口腔粘膜の保護や口の中の細菌の増殖を抑える抗菌作用、酸によって歯から溶け出したカルシウムを歯に戻して修復する再石灰化などの作用があります。唾液量が減ると、これらの働きが妨げられるため、虫歯や歯周病、粘膜に炎症が起こる口腔カンジダ症に感染しやすくなるのです」と中川准教授。

 治療法については、「糖尿病など元の病気の治療に加えて、薬の減量や変更など、口腔内の乾燥の原因を取り除くことが基本になります。唾液分泌を促す薬を使うケースもあります」と説明する。

 治療と同時に、歯磨きや保湿スプレーの活用などで、口の渇きを改善するためのセルフケアも重要となる。中川准教授は「セルフケアと併せて、ストレスをためないこと、食べ物をしっかりかんで唾液分泌を促すこと、人とおしゃべりをすることも大切です。最近は、ドライマウスを治療する歯科医院も増えているので、気になることがあればかかりつけの歯科医に相談してください」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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