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国の指定難病である全身性エリテマトーデス(SLE)は若い女性に多く、関節の痛みや皮膚の発疹といった多様な症状が表れる。薬の副作用による骨折の恐れなど日常生活への影響も大きいが、近年、複数の新薬が登場し、症状を抑えながら生活の質の向上が期待される。北海道大学病院(札幌市)リウマチ・腎臓内科の渥美達也教授に聞いた。
20~40代の女性に多い
▽20~40代女性に多く
SLEは、細菌やウイルスと闘う免疫系が異常を来し、正常な組織を攻撃する病気。多くの組織で炎症が生じ、関節痛、発熱、全身倦怠(けんたい)感、両頬に広がる赤い発疹、腎臓の障害、けいれんなど多様な症状が表れる。患者数は6~10万人と推定され、女性が男性の9倍。20~40代での発症が多い。
治療は免疫と炎症を抑えるステロイド剤が主体で、病気の活動性を抑え込むことが可能だ。しかし、ステロイド剤には糖尿病、骨粗しょう症とそれによる骨折、感染症などの副作用がある。病気そのものと薬の副作用のどちらもが臓器を侵し、社会活動や家庭生活に影響する可能性がある。
理想は、病気の活動性と薬の副作用が共に抑えられ、生活にも制限がないことだが、「達成しているのは患者の2割程度」と渥美教授はみる。
▽新薬でステロイド減量も
2017年と21年に、免疫の異常を抑える新薬が相次いで発売された。渥美教授は「病気の活動性がくすぶっている状態の時に、ステロイド剤に追加します。週1回または月1回の注射を続けると、ステロイド剤の方の減量が期待できます」と解説する。
21年11月に発売されたのがアニフロルマブで、体内の情報伝達物質「Ⅰ型インターフェロン」を介した免疫異常の指令を遮断する。ただし、正常な免疫反応も抑えてしまうため、感染症にかかりやすくなる。
臨床試験では、風邪などの上気道感染が2割ほどに見られ、投薬しない場合の2倍だった。重い感染症として、皮膚に小さな水膨れや痛みが表れる帯状疱疹(ほうしん)が7%に発現した。
こうしたデータから、新薬を使う場合は、手洗いやマスクといった基本的な感染対策とともに、皮膚などに異常があればすぐに受診する必要がある。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/04/02 05:00)
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