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罹患(りかん)率、死亡者数ともに年々増加している乳がん。新規患者は年間9万人を超えるが、早期であれば90%以上が治癒するという。早期発見のカギを握る乳がん検診について、昭和大学病院乳腺外科の明石定子教授に聞いた。
マンモグラフィーは小さな乳がんの発見に有効
▽受診率は50%以下
日本における乳がん検診の受診率は47.4%(2019年)。年々増えてはいるが、欧米の7~8割と比べると低い。明石教授は「自分は乳がんにならないと思っている人が多いのですが、今は9人に1人が乳がんにかかる時代。ぜひ検診を受けてください」と呼び掛ける。気になる症状がないから受けないという人もいるが、「検診は症状がない人にがんがあるかどうかを調べるためのもので、早期発見につながります」と強調する。
国の指針に基づく乳がん検診の対象は40歳以上の女性で、問診とマンモグラフィー(乳房X線検査)を2年に1回行うのが基本。マンモグラフィーは、触れても分からないほど小さながんの発見に有効で、死亡を減らすことが分かっている。「早く見つけて治療をすれば、治る率が高い」と明石教授。なお、かつて行われていた視触診は一定の質を保つことが難しく、死亡率低下の根拠にも乏しいため、現在は推奨されていない。
▽乳腺エコーを追加
マンモグラフィーには弱点もある。がんも乳腺も白く映し出されるため、脂肪が少なく乳腺の密度が高い傾向がある日本人女性の場合、検診精度が低くなるという。その場合は、乳腺エコー(乳房超音波検査)が有効だ。
40代の女性に対してマンモグラフィーに乳腺エコーを組み合わせると、乳がんの発見率が約1.5倍になると報告されている。明石教授は2年に1回の検診と乳腺エコーを受けることを勧める。ただし、検診目的の場合は全額自己負担となる。
乳がんではセルフチェックも推奨されているが、「セルフチェックだけで早期乳がんの発見は、難しい」。がんの位置にもよるが、一般にはがんが3センチくらいまで大きくならないと自分で見つけるのは難しいという。2センチ以下の早期がんを発見するには、定期的な検診が欠かせない。「セルフチェックの目的は、自分の胸に関心をもって変化に気付く『ブレスト・アウェアネス』です」。しこりや皮膚のくぼみ、乳頭からの出血などがあれば、次の検診を待たずに乳腺外来を受診したい。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/06/12 05:00)
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