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片頭痛のつらさ、我慢していませんか?
~「かるた」で可視化する見えない“痛み”~

 体の痛みやつらさを人知れず抱えている人は少なくない。「ズキンズキン」と脈打つような痛みで寝込む人もいる片頭痛の場合、日本人の約10人に1人が抱えているとされるが、身近に患者がいると認識している人は多くないのではないだろうか。そもそも痛みは他人に見えにくい上、患者本人が我慢してしまっていることも考えられる。これから迎える梅雨の時期も、人によっては痛みがつらくなる季節だ。新しい薬の相次ぐ登場で片頭痛治療は進歩しているが、見えづらい痛みに対する周囲の理解も欠かせない。

ユーモラスかつリアルに片頭痛のつらさを表現

 ◇かるたで「見える化」

 「あたまを 交換したいくらいの 痛み」「鐘が頭の中で 鳴り響いている」「香水のにおいも 引き金に」「サボり癖があると 思われていないか不安」「六月になると 梅雨入りが怖い」「わたしの人生 半分以上の時間を 片頭痛に奪われている」…。

 片頭痛への理解を深めるために考案された「ヘンズツウかるた」の読み札には、当事者の実感がこもっている。片頭痛持ちのイラストレーター、フジワラアイさんが描いた絵札も痛みやつらさをユーモラスかつリアルに伝える。

 制作した日本イーライリリーでは、片頭痛への理解促進に取り組む社員有志による「ヘンズツウ部」が2019年に発足し、啓発イベントやワークショップなどを行ってきた。「ヘンズツウかるた」はその活動成果の一つで、遊びを通して、痛みだけではない片頭痛のつらさを「見える化」するのがねらいだ。

 当事者や周囲の人の生の声を集めた46対の読み札と絵札。制作を進めた同社広報担当の山縣実句さんは「あまり深刻になり過ぎずに正しく共感してもらえる札を選んだ」と話す。

 かるたを使ったワークショップをのぞくと、広いテーブルの上に絵札が並べられ、ちょっとしたかるた大会のよう。片頭痛のある人も、ない人も童心に帰ったように遊びに興じたが、楽しむだけで終わりではないのが普通のかるたとは違うところ。後半の「井戸端会議」では、参加者同士が気になる札について話し合いながら片頭痛への理解を深めていくのだ。

遊びながら片頭痛について学ぶ

 ◇つらさを分かり合う

 3月末にオンラインで行われたワークショップでは、かるたの後、気象の変化に伴う頭痛症状について参加者が意見交換した。「高校生の娘が頭痛持ちで、天気、気圧の変化がある時に痛がる」との声があった一方で、「気圧の変化を繊細に感じ取るのは生体のセンサーが鋭敏なのかもしれない。片頭痛にポジティブなイメージが出てくる」との意見も聞かれた。

 頭痛で学校の保健室に行っても熱がないからと教室に帰された経験を持つ人、子どもの頃から頭痛持ちだったが、「腹痛や熱で休んでも、頭痛は休んでいい病気ではないと思っていた」と打ち明ける人も。周囲だけでなく当事者自身も「ただの頭痛」と認識してきたことがうかがえる。

 かるたは同社のウェブサイトから無料ダウンロードできる。昨秋の公開から半年で1万5000以上のページビューがあり、医療機関のほか、一般の職場でも活用されているという。

 山縣さんは「経済産業省が推進している健康経営優良法人認定制度でも、従業員の健康意識向上のための教育の項目の一つに『片頭痛頭痛』が2021年度から追加された。職場や家庭でヘンズツウかるたを活用して、当事者が自身の症状やつらさを気軽に周囲に打ち明けることで片頭痛が正しく理解され、適切な配慮が生まれる社会になれば」と期待する。

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