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頭や顔などに赤く盛り上がったあざができる乳児血管腫(いちご状血管腫)は、乳児の中では最もよく見られる良性腫瘍だ。埼玉県立小児医療センター(さいたま市)の渡辺彰二副病院長は「治療は形成外科や皮膚科が行いますが、服薬治療などもあるので、しっかりとした管理を行う小児科と連携している施設を選ぶといいでしょう」と話す。
異常な血管の内皮細胞が増殖して発症する
▽血管内皮細胞の異常増殖
いちご状血管腫は、血管の異常な内皮細胞が増殖し、頭や顔、腹や背、内臓など、血管がある所ならどこにでもでき得る。渡辺副病院長は「生まれた直後は何も無いか、皮膚がうっすらと赤い程度ですが、生後1~2週間くらいから盛り上がって目立ち始めます。1年ほどでピークを迎え、成長に伴い退縮します」と説明する。
基本的に自覚症状は無いが、えぐれて潰瘍状になり痛みが出るなど、二次的な症状を招くことがある。大半は自然に赤みが引いて腫瘍が小さくなる「退縮」が起きるが、血管腫の大きさによっては退縮後の皮膚に萎縮や膨らみが残ることもある。
原因は詳しく分かっていない。発症頻度には人種差があり、白人は2~12%だが、日本人は0.8~1.7%、黒人はさらに低いという。
▽経過観察も選択肢
診断は視診と問診、触診で行う。皮膚の表面に五つ以上の血管腫があると内臓にもあるとみられ、詳しい検査が必要になる。皮膚の下や内臓の血管腫は、超音波検査や磁気共鳴画像装置(MRI)検査などを実施する。
治療する場合は服薬、レーザー治療、手術などがある。血管腫が首や鼻にできて呼吸困難を起こす、目元にできて視界を遮る、耳にできて耳をふさぐなど、体の機能を損なうケースでは、積極的に服薬治療を実施。後日、機能や形態を回復させる形成外科手術を行う。
経過観察も選択肢の一つ。将来的な外見に問題がないだろうと判断されれば、大きな血管腫でもそのまま経過観察になることがある。解釈は医師により違うため、医療機関ごとに治療方針が異なることも少なくない。また、レーザー治療の使い方も医師により異なり、同院では赤みを早く消すために用いることがある。
「薬の副作用で低血糖になってけいれんが起きたり、レーザー治療で治療部分が潰瘍になり傷痕が残ってしまったりすることもあります。メリットやデメリットを含め、治療法は医師とよく相談して決めてください」と渡辺副病院長は強調する。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/07/24 05:00)
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