治療・予防

軽快には正確な診断必要
~専門医の下で鑑別を―静脈奇形(信州大学医学部付属病院形成外科 杠俊介科長)~

 血管にできる塊、血管腫には、さまざまな分類がある。信州大学医学部付属病院(長野県松本市)形成外科の杠俊介科長は「性質も経過も治療法も異なる血管腫を正確に診断するのは難しく、適切な治療を受けられないことで症状が軽快せず、医療難民になる患者さんがいます」と指摘する。

硬化療法で症状をコントロールしながらうまく付き合っていく

 ▽ひどく痛む静脈奇形

 血管腫には、血管性腫瘍や先天的な原因の血管奇形もあり、後者はさらに静脈奇形、動静脈奇形、毛細血管奇形、リンパ管奇形などに分類される。血管奇形の中で頻度の高い静脈奇形は、胎児期の血管形成の過程で、遺伝子異常がある部位に塊ができる。一部を除き、遺伝性はない。

 患者の半数近くに痛みが生じ、脚に強く表れる。程度は日や週単位で変化する。昼間は元気に遊んでいた子どもが、夜に突然強い脚の痛みで動けなくなることもある。「慢性的な痛みが多様に変化する病気は他にあまりなく、見た目やX線検査で異常がないと周りから理解が得られ難く、悩む患者さんがいます」と杠医師。皮膚の浅い所にできると、腫れや隆起、青紫色の色調変化などが見られる。

 ▽治療は硬化療法

 超音波検査や磁気共鳴画像装置(MRI)の検査で塊の存在が確認されれば、血管腫と診断される。乳幼児の場合は自然に治るイチゴ状の乳児血管腫の可能性もあり、経過観察の場合もある。痛みがあれば、ストッキングや弾性包帯での圧迫、痛み止め薬の内服で対処する。

 塊が消えなければ、鑑別診断が必要となる。血管腫の種類によって中心となる治療法が違うからだ。静脈奇形の場合、遺伝子異常のために切除しても再び同じ場所に塊ができる可能性が高い。関節内の塊を切除すると可動域が狭まるリスクもある。そのため、塊に針を刺し硬化剤を注入してつぶす健康保険適用外の硬化療法が主役となる。

 杠医師は「静脈奇形は先天性のため治癒はしません。しかし、がん化することはなく、専門医の下で治療すれば、痛みや見た目の問題は軽減され、うまく付き合いながら通常の生活ができます。血管腫と言われたら、日本血管腫血管奇形学会ホームページに記載されている専門医を受診してください」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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