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日本に住む外国人が増え、安全・安心な医療を提供する体制の整備が求められている。外国人が医療従事者にきちんと症状を伝え、説明を受けた上で納得して治療を受けられるよう支援する「医療通訳」もその一つ。日本WHO協会(大阪市)の中村安秀理事長に話を聞いた。
治療方針の説明時に活躍する医療通訳
▽患者と医師の間に
出入国在留管理庁によると、在留外国人は約276万人(2021年12月末)。20年に生まれた外国籍の子どもは約1万9000人(厚生労働省調べ)に上る。
在日外国人の国籍や話す言葉はさまざまで、「適切な医療を提供するには、身ぶり手ぶりだけや、日常会話レベルの通訳では不十分なのです」と中村理事長は話す。
こうした中で重要性が増しているのが「医療通訳」だ。例えば頭痛なら、発症の時期やきっかけ、他の症状の有無といった情報を日本語で医師に伝え、診断結果や薬の飲み方といった患者への説明をそれぞれの言語に訳す能力が必要だ。
▽電話や翻訳機の利用も
医療通訳の役目を担うのは、日本に長く住む外国人や日本語を勉強している外国人、語学に堪能な日本人ら。守秘義務があり、感染対策など自身の健康、安全の管理も求められる。
現場での対面通訳の他、電話を介した遠隔通訳もある。言葉を端末に吹き込むと訳してくれる機械翻訳は「数十言語に対応可能で、近年は使い勝手が良くなってきた。受け付けや簡単な問診に活用できます」。ただし、手術の説明や、命に関わる病気の治療方針を決めるようなときは、対面通訳が適しているという。
課題は、手配した通訳の費用を誰が負担するかということだ。現状では医療機関、患者、自治体だが、患者の負担を抑えつつ医療通訳者が適正な報酬を得られる仕組みが望ましい。中村理事長は「公的医療保険で医療通訳サービスを利用できるようにして、費用の一部を患者が負担し、残りを保険料と公費で補うべきです」と提言している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/08/26 05:00)
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