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高齢者に多く見られる骨粗しょう症では、骨がもろくなり、大腿(だいたい)骨の付け根や背骨にわずかな外力が加わっただけでも折れる。さらに厄介なのは、一度骨折すると、連鎖的に他の部位でも骨折する可能性が高いことだ。こうした「二次性骨折」の予防に取り組む、新潟リハビリテーション病院(新潟市)整形外科の山本智章院長に聞いた。
薬、栄養、運動で骨を強く
▽4年後に次の骨折
大腿骨が折れた骨粗しょう症患者が他の部位でも骨折を発症する場合、平均で約4年後に生じると報告されている。「尻もちをついた程度の転倒でも骨が折れ、寝たきり、要介護になるという負の連鎖に陥ります」と山本院長。
二次性骨折予防の第一歩は、初回骨折を接合する急性期治療を終えた後も、骨粗しょう症の治療を継続することである。しかし、2012年に鳥取大などが報告した全国調査では、大腿骨骨折1年後の骨粗しょう症治療率は約2割にとどまった。
▽薬、栄養、運動
そこで、急性期病院の医師だけではなく、他の医療従事者、医療機関が連携して切れ目のないケアを提供し、二次性骨折や骨折の連鎖を食い止めるための取り組みが進められている。
新潟リハビリテーション病院では、12年に二次性骨折予防の体制を整えた。「骨折で入院した患者から、二次性骨折の恐れがある人を見極め、どのような危険因子を持っているかを評価します。それに応じて治療を始めるとともに、薬、栄養、運動、転倒予防などに関して専門の医療者が情報提供を行います」
退院後、患者の約9割は地域の他の病院、診療所(内科、整形外科など)で治療を続けるが、同院からも定期的に患者側に電話をかけて、その後の骨折や生活の状況を把握する。専門的な骨の検査が必要な場合は、設備のある病院で受けてもらう―といった流れだ。大腿骨骨折患者は退院3年後でも7割が治療を続けていた。
このような二次性骨折予防の取り組みを広めるため、厚生労働省は今年4月から保険診療の枠組みに取り入れ、医療機関に対して普及を促している。
山本院長は「骨折は、本人と家族の人生を変えてしまう『発作』とも言えます。寝たきりにならないように、また二度と痛い思いをしないように、予防策を取ることが重要です」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/09/14 05:00)
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