治療・予防 2024/05/02 05:00
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うつ病の再発予防効果やメンタルヘルスへの好影響が注目されている「マインドフルネス」。慶応義塾大学ストレス研究センター(東京都新宿区)でマインドフルネスの実践や研究を行う、同大保健管理センターの佐渡充洋教授は「1日10分でもマインドフルネスのエクササイズをすることで、先々の不安や過去の葛藤から離れて今の自分を受け入れ、心豊かに生きることにつながります」と話す。
14-2マインドフルネスのエクササイズ
▽今をありのまま認識
マインドフルネスは、「今この瞬間」に起こっていること(外的状況、自分の体の感覚、感情や気持ちなど)に注意を集め、それを丁寧に観察、ありのままに認識して受け入れる態度や技法を指す。
佐渡教授は「簡単な瞑想(めいそう)や呼吸法を取り入れたエクササイズに取り組むことで、マインドフルネスを学んでいきます。最初は呼吸に注意を向ける瞑想を行い、意図した対象に注意をとどめる訓練をします」と説明する。
呼吸の瞑想では、胸やおなかの膨らみ、呼気と吸気の出入りに感覚を集中させる。考え事をするなど、注意が他にそれたと気づいたら、それを認識し呼吸に注意を戻すことを繰り返す。
マインドフルネスの手法を取り入れたマインドフルネス認知療法(週2時間、計8回)は、通常の治療に追加することで、うつ病の再発予防や不安症の改善効果があると確認されている。「体の感覚、さらに自分の思考や気分を冷静に観察できるように訓練します。その結果、より現実的な対応が取れるようになり、症状の改善につながると考えています」
▽不快でも嫌悪しない
マインドフルネスは、精神疾患を患ったことのない人の幸福感や人生の充足感といったウェルビーイングを高める効果もあるという。
老いや持病との向き合い方について、佐渡教授は「なくならない体の不調を『おかしいじゃないか』などと無理に否定すれば、不安や怒りが増幅されて症状は強くなりがちです。マインドフルネスでは、例えば、痛みなど不快なものを嫌悪せず、丁寧に観察することでその受容力が上がります。『痛みはあるけど大丈夫』『痛みと一緒にやっていける』と思えてくるのです」とアドバイス。
「現代人は目標達成や問題解決のための思考にとらわれがちで、それ自体がわれわれを苦しめている。短時間でも思考の渦から抜け出し、今起こっていることにしっかりと目を向けることで、心を休ませてリラックスしましょう」
精神疾患で治療中の人は、マインドフルネスを実施する前に必ず主治医に相談する必要がある。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/10/16 05:00)
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