治療・予防 2024/12/23 05:00
薬物療法が大きく進歩
~ぼうこうなどの尿路上皮がん(虎の門病院 三浦裕司部長)~
空を見上げたときなど、視界に蚊や糸くずのような形をした黒い影が浮遊しているように見えるなら、飛蚊(ひぶん)症の可能性がある。三重大付属病院眼科の近藤峰生教授は「飛蚊症は中年期以降によく見られますが、病気が原因の場合は治療が必要です」と話す。
視界に蚊のような浮遊物が見える飛蚊症のイメージ
◇大半は治療不要
眼球の中は、硝子体(しょうしたい)と呼ばれる、卵の白身のような透明のゲル状の物質で満たされている。硝子体は眼球を支え、入ってくる光を屈折させる役割がある。硝子体の一部に濁りができてその影が網膜に映ると、黒い物が浮かんでいるように見える。飛蚊症の特徴的な症状だ。
近藤教授によると、「浮遊物」は蚊や糸くずの他、ごみ、虫、ハエなど見え方は人によってさまざまで、眼球を動かすと一緒に動く。明るい場所や白い壁などを見たときに気付くことが多いという。
加齢に伴って起こる生理的飛蚊症と、病気が原因で起こる病的飛蚊症があり、大半は生理的飛蚊症だ。生理的飛蚊症の多くは、中年期以降に硝子体が萎縮して、眼球の奥の網膜から自然に離れていくときに起こる。硝子体の濁りが網膜の近くにあると影はくっきりと映るが、水晶体の方に移動すると影はぼやけていく。
近藤教授は「最初はうっとうしいかもしれませんが、徐々に慣れて気にならなくなっていきます」と説明する。生理的飛蚊症であれば、原則として治療は必要ない。
◇40代以降は検査を
一方、網膜裂孔、網膜剥離、硝子体出血、ぶどう膜炎などが原因で起こる病的飛蚊症には要注意だ。特に失明につながる網膜裂孔や網膜剥離は緊急手術が必要になる。浮遊物が突然見えたり、数が増えたり、視力の低下、視野の欠けなどがある場合は、これらの病気が潜んでいる可能性がある。
飛蚊症は中高年になると増える。近藤教授は「40代を過ぎて気になる症状があれば、眼科の受診をお勧めします。飛蚊症の検査では散瞳剤で瞳孔を開かせて眼底の状態を調べます。そのため、検査後2、3時間は目が見えにくくなるので、車の運転は控えてください」と助言している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/02/25 05:00)
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