治療・予防 2024/12/27 05:00
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弱った腎臓の代わりに血液から人工的に老廃物などを除去し、きれいにして体内に戻す透析治療。治療が長期にわたると、さまざまな合併症が起きやすくなる。透析アミロイドーシスはその一つで、痛みなどで日常生活が制限される。東京女子医科大学病院腎臓内科の星野純一教授に治療法などについて聞いた。
最も多く見られる手根管症候群
◇特徴は安静時の痛み
腎臓の働きが悪くなると、β(ベータ)2ミクログロブリンというタンパク質が体内から分解・排出されず、血液中に蓄積される。透析で除去し切れなかったβ2ミクログロブリンが繊維状に凝集してアミロイド繊維が形成され、全身、とりわけ関節や骨の周辺に沈着する(アミロイドーシス)。
星野教授によると、透析アミロイドーシスは透析患者に最も多く見られる合併症で、特に手首にたまったアミロイド繊維が神経を圧迫して痛みやしびれを引き起こす「手根管(しゅこんかん)症候群」に悩まされる患者が多いという。
他に、指を伸ばすときに引っかかって弾くような動きになる「ばね指」や「多関節痛」などさまざまな症状が見られる。痛みは就寝中や透析治療中など、安静時に表れるのが特徴だ。
星野教授らの調査から、透析アミロイドーシスは透析治療期間が長くなるほど発症しやすく、透析治療を始めて10~20年で発症するケースが多いことが分かった。また、女性がかかりやすく、慢性炎症、酸化ストレスなどもリスクの要因になる。ただ近年は、透析技術の進歩により発症時期は遅くなる傾向があるという。
◇質の高い治療
たまったアミロイド繊維を溶かすような薬剤はまだ開発されていないため、手術で除去するなどして神経への圧迫や炎症を抑える方法が一般的だ。
「透析アミロイドーシスは生活の質を低下させることが分かっていますが、予防は難しいのが現状です。より質の高い透析治療やβ2ミクログロブリン吸着療法を受けることによって、アミロイド繊維の沈着を抑えることは可能です。これにより、痛みなどの症状も軽減されると思います。また、日ごろから適度な運動と十分な栄養摂取を心掛けることも大切です」
気になる症状があれば我慢せず、主治医に相談するか、日本透析医学会が認定する透析専門医のいる医療機関(https://member.jsdt.or.jp/list/facility)などを受診するとよいという。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/06/03 05:00)
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