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ほくろは皮膚表面に現れる濃褐色の色素斑の通称で、医学用語では母斑細胞母斑(ぼはんさいぼうぼはん)という。さまざまな形態があり、中にはほくろに似ているが、命に関わる危険なものもある。日本医科大学武蔵小杉病院(川崎市)皮膚がんセンターの桑原大彰センター長は「大人になってからできたほくろには注意が必要です」と話す。
危険なほくろを見分ける「ABCDEルール」
◇良性腫瘍の一種
日光を浴びると、表皮の奥にある色素細胞のメラノサイトがメラニンという黒い色素を作り出し、紫外線による皮膚障害を防いでいる。また、表皮は、常に一定の周期で生まれ変わる「ターンオーバー」を繰り返している。
ほくろはメラノサイトが変化した母斑細胞が増殖したもので、皮膚の良性腫瘍の一種だ。隆起したものや平らなもの、まだら模様のものなどさまざまな形態がある。
加齢に伴って表皮細胞の機能が低下し、メラニン色素が過剰に蓄積したり、ターンオーバーが遅くなったりしてできるしみは、ほくろとは別もの。顔面にできる脂漏性角化症や老人性色素斑は、しみや良性腫瘍の一種だ。脂漏性角化症は老人性疣贅(ゆうぜい)とも呼ばれ、平らなしみのように見えるが、次第に隆起して厚みを帯びてくる。老人性色素斑は徐々に大きく、色も濃くなってくる。
ほくろの治療は手術が一般的。1~2ミリ程度の小さなものは炭酸ガスレーザーで除去する場合もある。「大きなほくろをレーザーで除去すると、傷痕が目立つことが多いため、手術が望ましいです」
◇「ABCDEルール」
一方、注意が必要なものもある。皮膚がんの中にはほくろに似たものがあり、その代表が基底細胞がんや悪性黒色腫(メラノーマ)だ。
基底細胞がんは紫外線にさらされる顔面にできやすく、表面がてかてかしているのが特徴。メラノーマは日本人では手足にできることが多い。白人で発症頻度の高い体にできるものや、紫外線が原因で顔面にできるタイプもある。
良性と悪性を見分けるのは難しいが、「ABCDEルール」を参考にして自己チェックするとよい。非対称のいびつな形(Asymmetry)、境界不明瞭のぼやけた輪郭(Border)、色が不均一(Color)、直径が6ミリ以上(Diameter)、時間とともに形態が変化している(Evolving)―このうち一つでも当てはまると、危険なほくろの可能性がある。
桑原センター長は「ほくろは子どもの頃にできることが多いです。大人になってできたほくろで、大きくなってきたり、色が濃くなってきたり変化が見られるようでしたら、皮膚がんの可能性もあるため、早期に診断することが重要です。気になる場合は形成外科または皮膚科に受診を」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/07/09 05:00)
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