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脳梗塞は脳の血管が突然詰まる病気で、片側の手足がまひしたり、意識を失ったりする。詰まった血管に対する治療法が進歩し、死亡や後遺症に至る割合は近年低下しているが、再発率は下げ止まっている。再発予防の新たな取り組みをしている香川県立中央病院(高松市)脳神経外科の市川智継診療科長に話を聞いた。
生活習慣の改善(下段)と診療レベル(左側)に応じた脳梗塞の予防・治療
脳梗塞にはいくつかのタイプがあるが、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病が原因となるタイプが全体の6~7割を占める。高血圧や脂質異常症が長期に続くことで動脈硬化が進み、血管の内部が狭くなる。さらに、血管の壁が損傷するなどして血の塊(血栓)が付くと、血管が詰まってしまう。
一方、脳梗塞の2~3割は心臓病が原因で発症する。最も多いのは、心房細動と呼ばれる不整脈だ。
「心臓の鼓動が不規則になると、心臓内で血流がよどんで、血が固まりやすくなり、血栓が脳に運ばれて血管を詰まらせます」
脳梗塞は再発率が5年間で34%、10年間で50%と再発しやすい。予防には、生活習慣病の治療に加え、血液を固まりにくくする抗血栓薬が処方されている。
◇急性期から治療
同院は2022年2月、心臓病由来の脳梗塞再発の減少を目指し、発症して間もない急性期から治療を始める体制を整えた。脳外科と心臓を専門とする循環器内科が連携し、原因となった心臓の病気を早期に突き止めて専門的な治療をする。国内でも先進的な取り組みだという。
脳梗塞で脳外科に入院した患者のうち、心臓が原因と疑われる全ての人に循環器内科医が精密検査を行う。例えば、心房細動が見つかれば、カテーテルと呼ばれる細い管を介して心房細動の発生源を治療する。治療を終えた患者は、リハビリテーション病院や近隣の診療所に転院し、一般的な再発予防策を続ける。
「脳梗塞の再発予防では、生活習慣の指導から心臓カテーテル治療のような高度医療までさまざまなレベルを、医療機関がそれぞれの機能に応じて分担しています。急性期の『脳心連携』が、高度医療を提供する各地の病院に広がることが期待されます」と市川科長は話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/08/14 05:00)
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