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走ると膝の外側が痛くなる腸脛(ちょうけい)靱帯(じんたい)炎。「ランナー膝」とも呼ばれ、ランニングにおける代表的なスポーツ障害としても知られている。ぜんしん整形外科(東京都立川市)の守重昌彦院長は「症状の治療だけでなく、しっかりと原因を突き止めることが再発予防につながります」と呼び掛ける。
ランナー膝とも呼ばれる腸脛靭帯炎
◇お尻の筋肉が原因に
腸脛靭帯は太ももの外側に位置し、お尻の筋肉など骨盤外側の筋肉から、膝外側のすねの骨につながる。この膝外側付近に炎症が起こるのが腸脛靭帯炎だ。ランニングや自転車競技など、膝の曲げ伸ばしを長時間繰り返す人に目立つ。
以前は、腸脛靭帯が大腿(だいたい)骨とすれて炎症を起こすと考えられていたが、近年は、頻繁に引っ張られることによる腸脛靭帯の変性や、圧迫刺激により炎症を起こすと考えられている。
原因は、お尻の筋肉が硬かったり弱かったりすることが挙げられる。
「腸脛靭帯は、お尻の筋肉や股関節を動かす筋肉ともつながっていて、膝を支えて姿勢を保つ働きがあります。お尻の筋肉は、立ち上がった際に骨盤を支える役割があり、柔軟性が無かったり筋力が弱かったりすると、腸脛靭帯に負荷がかかりやすくなります」
また、柔らかくてクッション性が過度に良い靴や中敷きも、着地する際に膝が外側に横ぶれを起こす「スラスト」という状態を招き、腸脛靭帯炎を発症しやすいという。
◇原因追求し予防を
腸脛靭帯炎は、膝の外側を圧迫しながら膝を曲げ伸ばしし、痛みが出るかどうかでほぼ診断がつく。
アイシングや消炎鎮痛剤の服用、ステロイドの局所注射などで痛みを軽減する治療を行うが、長期にわたる痛みに対しては、体外衝撃波治療で患部の異常な神経や血管を除去し、痛みを緩和させたり治癒力を高めたりする治療を行う。この治療は医療機関により自由診療になる。同院では、これらに加え、理学療法士による運動療法で症状の改善を図る。
「一番重要なのは、痛みを起こす原因を突き止めることです。根本的な原因を取り除かなければ再発を繰り返すばかりでなく、靭帯の変性が慢性化し治りづらくなります」
発症予防には、ランニング前のお尻の筋肉のストレッチに加え、ゆっくり走り過ぎるとスラストを起こしやすいので、ペースを変えながら走るのが望ましい。
守重院長は「受診時は、スポーツ障害に詳しく、理学療法士が在籍している整形外科を選ぶことをお勧めします」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/09/03 05:00)
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