治療・予防

成長期に多いジャンパー膝
~ストレッチで改善も可能(丸太町リハビリテーションクリニック 森原徹院長)~

 ジャンプやランニング、スクワットの姿勢で構えるなど、膝の曲げ伸ばし動作を頻繁に繰り返すことで、膝のお皿部分に痛みが生じるジャンパー膝(膝蓋腱=しつがいけん=炎)。丸太町リハビリテーションクリニック(京都市)の森原徹院長に話を聞いた。

ジャンパー膝のセルフチェック

ジャンパー膝のセルフチェック

 ◇激しい運動に注意

 ジャンパー膝は、膝のお皿部分にある膝蓋腱の収縮を長時間繰り返し行うことで膝関節に負担がかかり、炎症を来し膝関節の前面に痛みを引き起こす障害だ。

 「成長期に身長が伸びるのに伴い、筋腱の伸張が間に合わず結果的に柔軟性の低下が生じる。16~20歳ぐらいの男性で、部活動などで日常的に激しい運動動作を行う人に多いです」と森原院長。バレーボールやバスケットボールなどで起きやすいという。

 初めのうちは運動後に痛みが生じる程度で支障はないが、重症化すると運動中に痛みを感じ思い切って跳べない、しゃがめない、走れないなどの支障を来す。運動を休止する必要も出るため、普段から注意が必要だ。

 ◇セルフチェックと予防

 「ジャンパー膝では骨や筋肉の細胞はつぶれていません。膝関節自体ではなく膝関節周辺の股関節や足関節の弱さや柔軟性を改善することが大切です」

 簡単にできるセルフチェックとして、〔1〕膝を深く曲げたり伸ばしたりして痛みが出るか〔2〕うつぶせで膝を曲げてかかとがお尻に着くか〔3〕片足立ちからしゃがんで立つ動作で痛みや力の入りにくさがないか―などの方法がある。

 また、スクワットの姿勢をチェックすると、腰が反ったり、腰が抜けるような姿勢で股関節が使えていなかったり、足関節の硬さによって重心が下方へ下ろせなかったりしていることがある。

 予防法としては、股関節が使えていない場合、うつぶせに寝て足を上げて5秒間キープした後、そのまま足を外側に開いてさらに5秒間キープ。続いて内側に閉じて5秒間キープして下ろす、股関節のトレーニングが効果的だ。

 足関節が使えていない場合は、しゃがんでストレッチする側の足を立て膝にして、前方へ体重をかける足関節のトレーニングをするとよい。

 年齢や体力にもよるが、それぞれ20回1セットを3回行う。膝関節自体のコンディショニング(調整)としては、股関節を伸ばして座り、膝蓋骨を上下と左右に大きく動かす膝関節のストレッチもお勧めだ。

 治療は注射や電気治療などが一般的だが、近年は皮膚の上から刺激を与えて異常な神経の働きを抑える体外衝撃波という物理療法が有効とされ、競技に復帰した人も少なくないという。

 森原院長は「症状を緩和するためには、運動前に十分なウオーミングアップを行い、全身の筋力の柔軟性を確保した上でストレッチを行いましょう。入浴中のマッサージや入浴後のストレッチも有用です。症状が改善した後も継続するようにしましょう」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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