血流を一時止めて再開
~駆血療法(ふく田整形外科 福田博司院長)~
血流を一時的に止めて(駆血)再開する。これを繰り返すことによって痛みやしびれの緩和を目指す「駆血療法」などを研究するMCA学会理事長で、ふく田整形外科(愛知県春日井市)の福田博司院長に話を聞いた。
血流を一時的に止めて再開を繰り返す駆血療法
◇ベルトで圧力加える
駆血療法では、腕や脚にカフと呼ばれるベルトを巻いて専用の機器で圧力を加えることにより、駆血と血流再開を繰り返す。再開により血管が緩んで拡張し、血液が一気に流れる。
「これにより、関節内部や筋肉深部など、血液が流れにくい毛細血管まで血液が行き届き、結果として血流が良くなると考えられます。血管の収縮・拡張の反応が良くなり、高血圧や冷え症の改善にも有効で、骨折や捻挫、肉離れなどのけがからの回復を早める効果もあると考えています」
◇高齢者の筋トレにも
同学会では、駆血療法を高齢者の筋力トレーニングにも応用している。筋肉には、収縮する速度が速く、瞬時に大きな力を出せる速筋(そっきん)と、収縮速度が遅く、持続的に力を出せる遅筋(ちきん)がある。速筋は酸素無しで動くことができるが疲労しやすい。遅筋は長く活動できるが酸素を必要とする。速筋は負荷の大きな運動により鍛えられるが、日常生活ではあまり使われないため加齢に伴い衰えやすい。
駆血療法を応用して筋肉の血流を制限した状態にすると、筋肉への酸素の供給が止まり、軽い運動でも速筋が働く。「駆血療法であれば、足踏みマシンによるステッパーや浅くしゃがむスクワット程度の軽い負荷の運動でも速筋が鍛えられます」
駆血療法は現在、全国で約400の医療機関や整骨院などに導入されている。効果と安全性は検証中で、自費診療となり1回1500円~8000円程度。
福田院長は「治療としての駆血療法は横になって行えば安全性が高く、出血中(女性の生理など)、静脈血栓のある人を除き、特に禁忌はありません。ただ、トレーニングの方は負荷がかかるため、主治医から軽い運動も禁止されている人は控えた方がよいでしょう」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/04/27 05:00)
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