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内閣府の推計(2022年度調査)によると、全国で「ひきこもり」状態にある人は約146万人、15~64歳の約50人に1人の割合で見られる。長引きがちなひきこもり状態の人を早く支援につなげるために、家族はどのようにしたらよいだろうか。九州大学病院(福岡市)でひきこもり外来を担当する、加藤隆弘同大大学院准教授に話を聞いた。
家族が最初の支援者になるための五つのステップ
◇病的ひきこもり予防
ひきこもりとは6カ月以上にわたり、仕事や学校など社会とつながることを避け、家庭内にとどまっている状態とされる。加藤准教授らは、こうした状態の中で当事者の苦痛や孤独感、家族など周囲の人の苦悩があり、さらに仕事や学業、家族との関係、交友関係などに支障がある場合を「病的ひきこもり」とする国際診断基準を論文で提案した。
病的ひきこもりを予防するためには〔1〕規則正しい生活リズムを送る〔2〕運動、散歩などポジティブになれることを見つける〔3〕人とつながるためのインターネットを上手に活用する(ネット依存には注意)〔4〕メンタルヘルス、特にうつ関連症状をチェックする―ことなどが重要だという。
加藤准教授らは、自分の「ひきこもり度」が分かるセルフチェックをウェブ上に公開。そして、さまざまなストレスをうまく避けて「こころの居場所」をつくることの重要性を訴えている。
◇寄り添い、耳を傾ける
病的ひきこもりとなった場合、「ひきこもりの開始から支援につながるまでに平均4.4年かかるとされます。長期化を防ぐための鍵は、本人が早目に専門施設に相談に行くよう実現させることです」。
そのために家族がとるべき心構えとして、加藤准教授は、五つのステップ「ひ・き・こ・も・り」を考案した。
〔1〕「ひ」は評価。ひきこもり状況を客観的に評価し、理解する〔2〕「き」は聴く。当事者に寄り添い、その話に耳を傾けることで相談しやすい居場所をつくる〔3〕「こ」は声掛け。あいさつから始め、タイミングを見て、どれだけ心配しているかを伝える〔4〕「も」は求める。状況に応じ、専門家に支援を求める〔5〕「り」はリラックスできる家庭での取り組み。本人が楽しめる機会をつくったり、家族も息抜きや家族会などの交流の場を持ったりする。
「家族が本人とコミュニケーションを図るときは、自分を主語にして話す、簡潔に話す、批判的な話・決めつけをしないことが大事です」と加藤准教授は話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/12/24 05:00)
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