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各地にいるマダニは、人や動物にかみつき血を吸う間に、ウイルスなど病原体の「運び屋」として感染させてしまうことがある。国立感染症研究所(東京都新宿区)獣医科学部の前田健部長は「全てのマダニが病原体を持っているわけではありませんが、寄せ付けないことが第一歩です」と強調する。
マダニが感染症を媒介
◇病原体の「運び屋」
「マダニは、山林や草むらなど、野生動物が多く出没する環境に生息しています。体長は種によってまちまちですが、1~5ミリ程度。人に付着すると、皮膚の上を歩き回って吸血部位を探し、脇の下や陰部などで吸血します」。数日間かみついて血を吸い、地面に落ちる。かまれた箇所は赤みなどが生じる。
マダニが媒介する人への感染症としては、日本紅斑(こうはん)熱がこの十数年で増え、重症熱性血小板減少症候群もある。感染した猫から人に病気が広がることもある。
◇かまれたら皮膚科へ
感染を防ぐため、屋外で活動する時にはマダニを体に付けない、付いたら落とす―ことが重要だ。特に草むらや森林の野生動物の通り道には注意したい。長袖、長ズボンを着用し、首にはタオルを巻き、ズボンの裾は長靴の中に入れ、皮膚の露出を避ける。虫よけ剤(ディート、イカリジン)を使用してもよい。
帰宅した際は、家に入る前に上着を脱ぐのが望ましい。「できるだけ早くシャワーや入浴をします。体をくまなく観察し、マダニが付いていないかチェックしましょう」
かみつかれた場合は、自分で取らない方がよい。皮膚の内部にマダニの体の一部が残ったり、病原体が飛散したりする恐れがあるからだ。「かまれたら、できるだけ早く皮膚科などを受診し、処置を受けてください。その後2週間程度は発熱などに注意しましょう」
ペットの猫はなるべく外に出さないこと、虫よけ剤を獣医師に塗布してもらうことが勧められる。犬については虫よけ剤の処置とともに、ブラッシングで害虫を除去する。こうした対応が、ペットを守り、人を守ることにつながる。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/12/27 05:00)
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