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肝臓は「体内の化学工場」と言われるほど重要な役目を担い、その働きが弱まると体がだるくなったり、手足がつったりする。「沈黙の臓器」と呼ばれるものの、自覚症状として表れることもある。かゆみもその一つだ。肝臓病に詳しい虎の門病院分院(川崎市)の熊田博光分院長によると、肝臓病患者の3人に1人はかゆみが出るという。
◇強いかゆみで不眠に
中年以降の女性に発症することが多い原発性胆汁性肝硬変は、胆管が壊れて胆汁の流れが滞る病気だが、黄疸(おうだん)などの症状に伴ってかゆみが出ることがある。肝臓がん、C型肝炎、アルコール性肝炎など慢性の肝臓病でも、病状が進むとかゆみが表れたり、強まったりする。
肝臓病のかゆみは全身に広がり、かいても治まらないのが特徴だ。かゆくて眠れず、イライラして、日常生活に支障が生じることもある。
◇薬で80%が改善
虫刺されやかぶれなどで起きるかゆみはヒスタミンという物質が原因だ。一般的なかゆみは、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬でたいてい治まる。しかし、肝臓病によるかゆみは、オピオイドと呼ばれる物質が関係していて、脳が直接刺激を受け、かゆみを感じる。そのため、抗ヒスタミン薬などでは治療効果が期待できないことが多い。
従来の治療薬では改善が見られない慢性肝臓病のかゆみに、2015年からナルフラフィン塩酸塩が使えるようになった。熊田分院長の調査では、かゆみがある肝臓病患者の約80%に改善効果が見られたという。
「かゆみが治まって安眠できれば、日常生活の向上にもつながります。肝臓病と上手に付き合っていくことが大切です」と、熊田分院長は話す。薬が効きにくいかゆみがあり、体がだるいなど気になる症状があれば、肝臓内科や消化器内科を受診をしてみてほしい。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2017/08/28 15:50)
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