治療・予防 2024/11/22 05:00
ドナーの食べたもので輸血副反応?
~アレルギー患者で活性化(信州大学医学部付属病院 柳沢龍准教授)~
飛行機などによる長時間の移動で注意したいのが、ロングフライト血栓症(エコノミークラス症候群)だ。同じ姿勢で長時間座り続けることなどが原因で、脚の静脈に血栓(血の塊)ができる。
「重症化すると血栓が肺の方へ移動して血管を詰まらせ、場合によっては死に至ります。予防のために水分の補給や運動などを心掛けましょう」と京都橘大学(京都市)健康科学部の西本泰久教授は呼びかけている。
かかとや爪先を上下する
◇狭い機内と乾燥
ロングフライト血栓症とは、脚の静脈に血栓ができる深部静脈血栓症と、その血栓が移動して肺動脈をふさぐ肺血栓塞栓症の両方を含む俗称だ。バスや列車でも起きるが、飛行機は危険度が増す。狭い機内で長時間同じ姿勢でいることに加え、機内が非常に乾燥しているためだ。「乾燥していると脱水で血液が濃くなり、血栓ができやすくなります」
軽症だと脚がむくんで痛みを少し感じる程度で済む。「小さい血栓は、しばらくすると溶けて症状が無くなっていく例もあります」。だが重症化すると脚にできた血栓が肺に流れて呼吸困難を起こし、場合によっては心停止に至る。「降機して空港ターミナルを歩いているときに、血栓が肺に流れてしまうがケースが多いです。体を動かし始めると、脚にできた血栓も動くためです」
◇高リスクなら抗凝固薬
機内での予防策は▽トイレまでのわずかな距離でも体を動かし、着席中はかかとや爪先を上下する足首の運動と腹式呼吸を1時間ごとに3~5分間行う▽水分を小まめに取る。アルコールやコーヒーは利尿作用があるので控える▽ゆったりした服装で搭乗し、ベルトなどで体を締めない。脚も組まない▽睡眠薬は寝返りや脚を動かす機会を減らすので使わない―など血流を促すよう心掛ける。
着圧ソックスを用意するのもよい。「病院では手術後の患者にも肺血栓塞栓症の危険性があるため、着圧ソックスを用います。ふくらはぎに圧がかかり血流を助けます」
ロングフライト血栓症のリスクになるのは、6時間以上のフライト、50歳以上、肥満。がん、脂質異常症、糖尿病、骨折や大きな手術から2~3カ月以内、産後1カ月間程度―の人などは、血液が固まりやすいため要注意だ。「リスクの高い人は長時間移動する際、抗凝固薬の処方についてかかりつけ医に相談してみるとよいと思います」と西本教授はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/01/13 05:00)
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