深部静脈血栓症〔しんぶじょうみゃくけっせんしょう〕

 表面上は、下肢のむくみや表面の静脈が浮き上がってみえる以外、強い痛みや発赤などの静脈炎の症状を呈さずに、下肢や骨盤内部の静脈内に血栓が知らないうちに形成されている病態を指します。
 血栓が静脈壁からはがれて血流にのって、肺に到達して肺塞栓症を引き起こします。右側よりも左側に発生する頻度が高いです。手術、妊娠、長期の安静臥床(がしょう)、悪性腫瘍などが誘因となります。
 静脈の超音波(エコー)検査や血管造影検査で、その存在や部位を診断し、治療はヘパリン、ワルファリンカリウム、血栓溶解薬などで血液を固まりにくくします。

■エコノミークラス症候群(ロングフライト症候群、急性肺血栓塞栓症)
 深部静脈血栓症は、狭い飛行機やバスなどの乗り物に長時間乗ることで起こることから、エコノミークラス症候群とも呼ばれることがあります。また、最近では震災後の避難所生活で生じやすいことでも有名です。
 長時間同じ姿勢を続けていると、血液の循環がわるくなり、下肢に血栓が起こりやすい状況になります。
 下肢に生じた静脈血栓が、血流にのって肺に入り込むと肺塞栓症をひき起こします。
 着席中や起立直後だけではなく、血栓形成後、数時間から数週間で発症する場合があります。足の痛み、むくみといった徴候があり、呼吸困難や胸痛、息切れが起こればこの病気の可能性があります。命にかかわることもあります。
 血液の固まりやすい体質の人は特にこの症状を起こしやすく、最近外傷を受けた人、大きな手術をした人、肥満気味の人、経口避妊薬(ピル)を飲んでいる人にも起こりやすいといわれています。
 予防は血液の循環をよくすることと、脱水状態にならないことです。長時間同じ姿勢を保つことを避け、適度に足を動かしましょう。深呼吸も効果的です。衣類はからだを締めつけないようなものを着用し、水分補給を心掛けます。アルコールやコーヒーには利尿作用があり、水分の排出をうながすことになるので注意が必要です。
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