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重症下肢虚血は、下肢の動脈硬化が主な原因で起こる末梢(まっしょう)動脈疾患の最重症型とされる。これを放置した場合、1年以内に30%が下肢切断術を要し、25%が亡くなる結果が予想されている。死亡や下肢切断を避けるには変化する病状に応じた専門的治療・ケアが必要になる。藤田医科大学(愛知県豊明市)血管外科の山之内大教授に話を聞いた。
重症下肢虚血の自然経過
◇包括的治療で
藤田医科大学病院は8月、複数の診療科が横断的に足の血管病を治療する「足の血管センター」を開設した。
「欧米では血管外科医、循環器内科医などが血行再建の中心的役割を担い、多領域の診療科が連携して専門性の高い治療を行っています。わが国ではまだ、こうした治療センターを持つ医療機関は少ないようです」と山之内教授。
足の血管センターでは血管外科、循環器内科、内分泌・代謝・糖尿病内科、皮膚科、形成外科、整形外科、リハビリテーション科、放射線科などの診療科が連携して包括的な治療を行う。「できる限り足切断を避け、質の高い生活を送れるようにサポートしていきます」
◇早期に専門的治療を
日本では近年、高齢化や食生活の欧米化により末梢動脈疾患が増え続けている。山之内教授によると、高齢者の他、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病を持つ人、喫煙習慣のある人、透析患者などがかかりやすい。
症状は、長く歩くと足が痛くなり、休むと治まるという間欠性跛行(はこう)がある。進行し、重症下肢虚血になると、安静時にも足の痛みが生じ、夜眠れないこともある。足先への血流が不足して栄養が行き届かないために、わずかな足指の傷がなかなか治らず、重症化し、組織が死ぬこともある。その場合、足の切断に至る場合もあるという。
治療は「運動療法、薬物療法、血管内治療、足の傷や感染症のケア、理学療法などが必要になります。脳卒中や心臓病が高率に起こるため、生活習慣病の治療も重要です」。そのため、多くの診療科、部門の協力が不可欠だという。
「重症下肢虚血は、治療のタイミングを逃すと一気に悪化します。疑わしい症状があったら、速やかに専門的な治療施設への受診を勧めます」と山之内教授は呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/02/18 05:00)
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