治療・予防 2024/12/23 05:00
薬物療法が大きく進歩
~ぼうこうなどの尿路上皮がん(虎の門病院 三浦裕司部長)~
突然の激しい腹痛などに襲われる急性膵炎(すいえん)。早期に適切な治療を受ければ良好に経過するが、重症になると命に関わる場合がある。近畿大学病院(大阪府大阪狭山市)消化器内科の渡辺智裕特命教授は「普段から食生活などを振り返り、急性膵炎が疑われる場合は早急な受診が大切です」と話す。
急性膵炎のリスク
◇膵臓を自己消化
食べた物は、膵臓(すいぞう)から分泌された消化液(膵液)が十二指腸で活性化することで消化される。急性膵炎は主にアルコール、高脂肪食、胆石などが原因で、膵液が膵臓内で活性化し膵臓自体を消化してしまい、炎症を引き起こす。
症状は突然起きる激しい上腹部痛や背部痛など。重症化すると、炎症が他の臓器に広がって多臓器不全を起こしたり、膵臓の細胞が壊死(えし)して敗血症を起こしたりして、ショック状態、呼吸困難、意識障害など危険な状態を招く例もある。
患者数は年間約7万8千人で、そのうちおよそ2割が重症化し、さらにその1割近くが死亡するとされる。「良性の疾患であるにもかかわらず死亡率が高いのが課題です」
重症急性膵炎の原因の一つとして、腸内にすみ着く細菌などの微生物感染の関与が知られているが、詳細は不明だ。渡辺特命教授らの研究グループはすでに細菌の関与を明らかにしており、さらにこのほど真菌(かび)の感染による重症化のメカニズムをマウスの実験で検証した。
それによると、腸内微生物を腸内に閉じ込めておく腸管バリアーの機能が急性膵炎によって低下すると、腸内の真菌が膵臓に感染し、過剰な免疫反応が起こって重症化すると考えられるという。免疫反応を活性化する分子も突き止めており、研究グループの大塚康生同科助教は「将来、この分子を標的にした治療薬の開発が望まれます」と期待する。
◇集中治療が必要
急性膵炎を発症すると、血液検査で血中の消化酵素の濃度を測定したり、CT造影検査で膵臓の炎症の程度を調べたりして、重症度を判定する。重症と判定されると、国が指定する難病として治療を受ける必要がある。
治療法はまだ確立していない。飲食をせず膵臓を安静にし、生命維持に必要な水分、電解質などを点滴投与する他、鎮痛薬などによる対症療法が中心だ。重症急性膵炎に対しては、さらに臓器不全などに備えて集中治療を要する。
「飲酒習慣、脂っこい食事が多い、胆石の既往など、病気のリスクに心当たりがある人は普段から生活を見直し、気になる症状があれば詳しい検査ができる専門医のいる消化器内科を、すぐ受診することをお勧めします」と渡辺特命教授は助言している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/04/22 05:00)
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