上腹部痛 家庭の医学

 胃・十二指腸潰瘍では、特に空腹時に上腹部痛が生じ、食事により軽快する場合があります。胃・十二指腸潰瘍が進行して穿孔(せんこう:穴があく)すると激しく痛み、急性腹膜炎が起こります。急性膵(すい)炎による上腹部痛も激烈で、急に起こって持続し、左肩や背中に放散し、嘔吐(おうと)を伴います。
 右寄りの上腹部痛は、胆嚢(たんのう)炎や胆石症が考えられます。発熱や黄疸(おうだん)を伴うときは重症です。

■上腹部痛
症状病名そのほかの症状など
上腹部痛逆流性食道炎胸やけ、臥位や食事で痛みが増強
急性胃炎胸やけ、吐き気、吐血
胃・十二指腸潰瘍食欲不振、胸やけ、吐き気・嘔吐、吐血、黒色便(血便)
アニサキス症生魚を摂取後の激痛
急性膵炎発熱、背部痛、吐き気・嘔吐
胆嚢炎右上腹部痛、吐き気・嘔吐、発熱
胆石症黄疸、右上腹部痛、吐き気・嘔吐、発作的な激痛(疝痛)


(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 総合診療部 部長 細田 徹