教えて!けいゆう先生

医療情報をネットで検索する時の三つのコツ 外科医・山本健人

 皆さんは、医療・健康の分野で何かに疑問を持った時、何を使って調べるでしょうか?

 以前行われた総務省の調査では、この質問に8割以上の人が「インターネットを使う」と答えました。実際、おなかが痛い時に検索エンジンで「腹痛 原因」と調べたり、病院で「胃潰瘍」と診断された時に「胃潰瘍 治療」と検索したりする。こうした経験のある人は非常に多いでしょう。

 しかし、インターネットの情報は、必ずしも信頼できるものとは限りません。インターネット上にある星の数ほどの医療情報から、適切なものを取捨選択する力が求められます。

 では、どのようにして情報検索すればいいのでしょうか?

 ここでは、幾つかお勧めできる方法を紹介しましょう。

インターネットで正しい情報を探すには

 ◇学会のサイトで検索する

 意外に知られていませんが、医学系の学会サイトの多くは、一般向けに分かりやすい情報集を用意しています。

 例えば、日本産科婦人科学会や日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会では、「症状名」や「病名」から検索できる分かりやすい一般向けページがあります。また、日本乳癌学会では「患者さんのための乳がん診療ガイドライン」が、日本消化器病学会では「患者さんとご家族のためのガイド」が無料で閲覧できます。

 学会の情報集は、多くの専門家が議論した結果として生み出された成果物です。1人の専門家が私見を述べた書籍に比べると(まして専門性のない人のSNSやブログの発信に比べると)、信頼性は高いと考えてよいでしょう。

 ◇キーワードに「or.jp」をつける

 例えば「胃潰瘍 or.jp」のように、調べたいキーワードの末尾に「or.jp」をつける方法があります。

 前述の学会サイトなど、非営利目的の学術団体のサイトは、URLに「or.jp」というドメインを使用していることが一般的です。キーワードに「or.jp」をつけると、これらのサイトだけが検索結果に表示されるのです。「どの学会サイトに行けばいいのか分からない」という場合は、この方法が有効です。

 また、「胃潰瘍 学会」のように、「学会」というワードをそのまま追加する方法もあります。こうすることで、自分の調べたい病名や症状名に関連する学会の一般向け情報集に行き着くことができます。

 ◇リンク集を利用する

 実は私が運営する医療情報サイトでは、学会や公的機関のサイトの便利なリンク集を作成しています。

 診療科、領域別に分類していますので、こちらを利用していただいても構いません。URLをブックマークに入れておくことをお勧めします。

 ◇インターネット検索に頼り過ぎない

 最後に最も重要な注意点を述べます。

 それは、「疑問が解決するまでインターネット検索を続ける」という行動を避けることです。

 つまり、上に挙げた方法で解決しない時は、インターネット検索の限界と考え、専門家に相談するのがお勧めです。

 必死で検索を続けるうちに、自分の信じたい情報ばかりを優先的に集めてしまい、間違った信念が補強されるリスクがあるからです。これを「確証バイアス」と呼び、誰もが陥る可能性のある心理的な傾向の一つです。

 個別の病気や症状について、インターネット検索で全ての疑問が解決することはあり得ません。インターネットと専門家をいずれも上手に「利用」することが大切です。(了)


 山本 健人(やまもと・たけひと) 医師・医学博士。2010年京都大学医学部卒業。外科専門医、消化器病専門医、消化器外科専門医、内視鏡外科技術認定医、感染症専門医、がん治療認定医など。「外科医けいゆう」のペンネームで医療情報サイト「外科医の視点」を運営し、累計1200万PV超を記録。各地で一般向け講演なども精力的に行っている。著書「すばらしい人体」「すばらしい医学」(ダイヤモンド社)はシリーズ累計20万部超。「医者が教える正しい病院のかかり方」(幻冬舎)、「患者の心得」(時事通信)ほか著書多数。

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