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2020年の東京五輪・パラリンピックを控え、スポーツへの関心が高まっている。だが、スポーツにはけがのリスクがあり、中でも頭部の外傷は生命の危険の恐れもある。頭部外傷の中で最も頻度が高い脳振とうの症状や、発生したときにどう対処すべきかについて、東京慈恵会医科大学付属病院(東京都港区)脳神経外科の谷諭教授に聞いた。
◇軽く考えるのは禁物
脳振とうは意識障害や頭痛、めまい、記憶障害などの症状だけでなく、頭蓋内で出血が起こるなどして生命に危険が及ぶこともあるため、「意識が戻れば大丈夫」と軽く捉えるのは禁物だ。
脳は髄膜で覆われ、その中の髄液という水に浮いている。その外側に軟膜、クモ膜、硬膜、頭蓋骨、頭皮があり、脳の表面と頭蓋骨の間に柱のように架橋静脈が巡っている。
「衝突で頭蓋骨は動くものの、中の脳には外からの力が加わっていないため、止まり続けようとする力が働き、脳は一緒には動きません。頭蓋骨と脳の位置がずれて、その間をつなぐ架橋静脈が引っ張られて切れると出血を起こします」
頭蓋内に出血が広がる急性硬膜下血腫に陥ると、脳が圧迫され、約半数が死に至るとされる。脳振とう後の頭痛は急性硬膜下血腫がある危険な状態といえる。一度脳振とうを起こした経験のある人は繰り返しやすく、「ボクシングのパンチドランカーがよく知られていますが、認知症やパーキンソン病のような症状を引き起こす慢性外傷性脳症になることがあります」と谷教授は説明する。
(2017/09/25 12:05)
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