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胃酸が逆流し、食道の粘膜が炎症を起こす逆流性食道炎では、胸焼けや酸っぱい物が込み上げるなどの症状が表れる。症状の強さは生活の変化に影響されやすい。
虎の門病院(東京都港区)消化器内科の落合頼業医師は「患者さんが生活情報や症状による生活の質(QOL)を医師に伝え、より良い治療を目指す『ペイシェント・レポーテッド・アウトカム(PRO)』という考え方が重要です」と話す。
患者からの情報に基づくペイシェント・レポーテッド・アウトカム
◇薬物療法と生活改善
逆流性食道炎は、胃と食道の境目にある下部食道括約(かつやく)筋が緩み、胃酸が逆流して起こる。せきや喉の違和感、睡眠障害といった症状を訴える患者もいるという。他の病気と見分け、重症度に合った治療をするためにも、「気になる症状があれば、一度は消化器内科などで内視鏡検査を受けてほしい」。
治療では症状のコントロール、QOLの改善、食道の出血や狭窄(きょうさく)といった合併症予防―を目指す。
治療の柱は、薬物療法と生活習慣の改善だ。「多くの患者さんは、胃酸の分泌を抑える薬で症状のコントロールが可能です」。胃酸の分泌が弱まり食道の炎症が改善されれば、減薬や休薬も期待できるという。
ただ、生活習慣が変わらないと再発しやすい。下部食道括約筋が緩みやすくなる原因として、肥満、過食、高脂肪食、飲酒、喫煙、ストレス、背中を丸めた姿勢などがあるため、減量や禁煙の他、お酒や就寝前の食事を控える、睡眠時は頭を高くするといった生活上の注意が欠かせない。
◇日々の変化を記録
一方で、外食が続く、たまたま夕食が遅くなるなど、生活は変化しがちだ。そうした出来事に伴い、症状の強さも変わると考えられるが、より的確な治療のために欠かせないのが、患者目線で症状の程度やQOLなどの変化を医師に伝えるPROの考え方だ。しかし、「限られた診察時間で、患者さんが医師に生活や症状の変化を全て伝えることは難しいのが現状です」。
そこで同科は、診察時に医師と情報共有しやすいよう日々の変化を細かく記録し、SNSのLINE上で管理できるコンテンツを監修、患者に案内している。患者自身が、症状が及ぼす生活への支障度を4段階で入力し、スコア化して週平均と月平均を確認でき、服薬や生活状況なども記録可能となっている。「記録用コンテンツなども活用しながら、症状に合わせた治療に結び付けてQOLの向上を目指しましょう」と、落合医師は話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/07/05 05:00)
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