治療・予防 2024/11/14 05:00
タンパク質、適量の把握を
~効率的に摂取するには(神奈川県立保健福祉大学大学院 鈴木志保子研究科長)~
がんで治療した部位に近い腕や脚などで、リンパ液の流れが滞り、むくむ「リンパ浮腫」。発症すると治りにくく重症化のリスクもあるため、予防や早期発見が不可欠だ。「普段から自分の体を観察して変化に注意を。スキンケアも大切です」と、がん研究会有明病院(東京都江東区)形成外科の関征央副医長は話している。
リンパ浮腫に対する主な対策
◇10年後発症も
心臓から送り出された血液の一部は、リンパ液として体内を巡る。リンパ液には大きなタンパク質や免疫細胞のリンパ球、老廃物などが含まれ、リンパ管を通じて運ばれる。リンパ管は脇の下や鎖骨周辺、脚の付け根、膝の裏(膝窩=しっか=)などのリンパ節を通り、最終的に鎖骨の近くで左鎖骨下静脈に合流し、心臓に戻る。
「リンパ管の形成不全や機能不全による原発性もありますが、がん治療でリンパ節を切除したり、放射線治療や一部の薬物療法によりリンパ液の流れが阻害されたりすることで起きる続発性がほとんどです」
子宮がん、卵巣がんなどの婦人科がんや、乳がん、前立腺がんなどで多く見られる。手術直後だけでなく、10年経過してから発症するケースもあり、生涯にわたり注意が必要だ。
「腕や脚のむくみ、重だるさ、人によってはピリピリした痛みを感じます。皮膚の荒れや傷などがあると発熱を伴う蜂窩織(ほうかしき)炎を発症したり、重症化して皮膚が硬くなる象皮症になったりする場合もあります」
◇運動療法の注意点
対策は主に2種類。一つは、皮膚を保湿し感染や炎症を防ぐためのスキンケアの他、リンパ液の流れを促すための〔1〕リンパドレナージ(特殊マッサージ法)〔2〕専用ストッキングなどを用いる圧迫療法〔3〕ウオーキングに代表される運動療法などの保存治療。これらは予防にも役立つ。もう一つは、リンパ液の流れが悪い部位のリンパ管と静脈を結ぶ顕微鏡下リンパ管細静脈吻合術などの手術療法だ。
運動療法については、「圧迫療法を行いながら、無理のない範囲で運動を行います。膝などへの負担を考え、水中でのウオーキングが良いでしょう。その際、皮膚に傷があると蜂窩織炎になりかねないので、衛生面には要注意です」。ストレッチや短時間の筋力トレーニングも良いという。
「日々の肌の観察とスキンケアを。異変を感じたら、がんの主治医や皮膚科を受診しましょう。リンパ浮腫ネットワークジャパン(リンネット)という患者会を通じて相談することもお勧めです」。保存治療は保険適用外のケースもあるため、必ず医療機関に相談を。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/11/12 05:00)
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