治療・予防

年のせいと放置しない
~アイフレイルに隠れた病気も(かとう眼科医院 加藤圭一院長)~

 加齢による目の機能低下を「アイフレイル」と呼ぶ。目の「病気」と「健康」の間の状態で、以前より目が疲れやすい、手元の作業がおっくう、作業効率が下がったなどと感じているなら、アイフレイルの可能性がある。さらに中高年は、アイフレイルに加え重篤な病気が潜むリスクも。日本眼科医会副会長で、かとう眼科医院(宮城県大和町)の加藤圭一院長に聞いた。

アイフレイルに潜む病気への対策

 ◇片目で見比べる

 例えば老眼は身近なアイフレイルの一つ。誰にでも起こり得る目の老化現象で、多くは40歳代から始まるが、「まだ老眼鏡を掛けたくない」と我慢していると、生活の質が低下しかねない。

 一方、近くが見えづらくなったのは老眼のせいだと自己判断することは禁物だという。「老眼以外に加齢黄斑変性糖尿病網膜症など、失明につながる病気が併存している場合があります。見えにくさに気づいたら放置せず、眼科で目の検査を受けましょう」

 中高年の失明原因1位である緑内障は、悪化するまで自覚症状がほぼなく、早期発見が特に難しい。眼鏡を作る際に偶然見つかる場合も多く、眼鏡作製時は眼科を受診し、処方を受ける点が早期発見の鍵になる。

 「中高年の方は遠近両用眼鏡や老眼鏡など、時と場所に応じた眼鏡を複数持つとよいでしょう。適切な眼鏡を作りに眼科に行くことが、アイフレイル、ひいては病気の対策になります」

 緑内障のように眼鏡などを使用しても視力や視野が改善しない病気の多くは、眼底検査で発見できるという。「職場の健診で受けられる場合は必ず受け、そうでない場合は40歳を過ぎたら、年に1回、ご自身で受けることをお勧めします」

 さらに加藤院長は、家族に緑内障患者がいる人、近視の人、特に糖尿病の持病がある人に、より強く検査を勧める。

 自宅でできる対策としては、日ごろから「3秒でできる自己チェックを取り入れてほしい」という。片目ずつ交互に物を見ると、両目で見ていては分からない視野欠損や、左右の見え方の違いに気付くことがあるそうだ。

 ◇チェックリストも活用

 日本眼科学会などで構成する日本眼科啓発会議のホームページにあるアイフレイルチェックリストも活用したい。定期的に確認し、二つ以上チェックが付けば眼科受診の検討を。「早期に適切な対策を取れば、健康で豊かな生活を長く継続できます。同サイトでお住まいの地域のアイフレイルアドバイスドクターを検索し、気になる症状があれば受診するのもお勧めです」と加藤院長は助言している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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