2024/10/28 05:00
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先日、患者さんに「尿検査で始めと終わりの尿を捨てるのはなぜですか?」と聞かれました。真ん中の尿、つまり中間尿を出すように、という注意事項は、皆さんも見聞きしたことがあると思います。少し面倒だとは思いますが、わざわざ中間尿を出してもらうのには理由があります。
尿を採取する際、最初の部分が混じると誤診断につながりかねない
◇汚れや雑菌含まず
この患者さんは、尿路感染症の既往がある糖尿病患者さんです。尿中白血球や尿中細菌が増加していないか、また尿タンパクが増えていないかなどを調べるために、検査を行っていました。検診やほとんどの外来で行われるのと同じような項目の、極めて一般的な尿検査です。
腎臓で作られた尿に、白血球やタンパク質が混入しているかどうかが重要なポイントとなりますが、出し始めと終わりの尿には、尿道口や膣(ちつ)の汚れ、雑菌が混入しています。そのため、始めから終わりまで全ての尿を検査にかけてしまうと、本来はきれいな尿が出ていても、見掛け上の陽性となってしまうことがあるのです。
◇中間尿以外の場合も
では、中間尿以外を使うのはどんな場面でしょうか。私は以前、性感染症外来で働いていたことがあり、性行動にアクティブな方の診察をするケースがありました。始めの尿、初尿はそんなときに役に立ちます。尿道の分泌物や細胞が多く含まれているため、淋菌(りんきん)やクラミジアなどの性感染症を疑って検査をする場合に用いることができるのです。
また、他の検査が発達した今ではほとんど行われませんが、排尿の前半3分の2と後半3分の1を別々の容器に分けてとる杯分尿という方法もあります。2種類の尿の出血の有無や量を比較することで、出血部位を推測できます。
尿検査に限らず、このように何を疑うかで検査のやり方が変わることがあります。いつもと異なるやり方で検査が行われるときには、その理由を聞いてみると面白いかもしれません。(了)
渡邉昂汰氏
渡邉 昂汰(わたなべ・こーた) 内科専攻医および名古屋市立大学公衆衛生教室研究員。「健康な人がより健康に」をモットーにさまざまな活動をしているが、当の本人は雨の日の頭痛に悩まされている。
(2024/11/29 05:00)
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