治療・予防 2025/04/08 05:00
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近年、「持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)」という新しい概念のめまいが注目されている。原因不明の「めまい症」とされてきた患者の約70%を占めるとみられ、「正しく診断して治療を行えば、多くの人の症状を改善できる可能性があります」と新潟大学医歯学総合病院(新潟市)耳鼻咽喉・頭頸部外科の堀井新教授は話す。
PPPDの主な症状
◇体の動きで悪化
PPPDは、何らかの急なめまい(多くは耳の奥にある内耳の病気によるめまい)が起こり、その病気が治癒した後も、浮遊感、不安定感などが3カ月以上、ほぼ毎日表れる。立位姿勢(立ち上がるなど)、体の動き(歩行などの能動的な動きや、電車に乗っているときなどの受動的な動き)、視覚刺激(大型店の陳列棚を見るなど)により、症状が悪化するのが特徴だ。
新潟大が過去に行った調査では、患者は2.6対1で女性に多く、平均年齢は49歳と比較的若かった。
体のバランスを保つ平衡機能は、内耳で感知する前庭覚、目で感知する視覚、皮膚や筋肉などで感知する体性感覚の三つを脳で統合することで制御されている。何らかの原因で前庭覚が低下すると、視覚と体性感覚でこれを補う仕組みになっている。
この仕組みを「感覚再重み付け」と呼ぶ。「PPPDでは前庭覚が回復した後も感覚再重み付けの状態が持続していると考えられます」。バランスを取るときに視覚や体性感覚に依存する状態がそのまま持続するために、視覚や体性感覚の過敏な状態を招く。その結果、通常では何でもないような視覚刺激や体の動きに対して過剰に反応してしまい、めまいが誘発されたり悪化したりするとみられる。
◇診断と治療
PPPDの場合、一般的なめまいの検査(平衡機能検査、聴力検査、画像検査など)で異常はないため、「診断には患者の症状や病歴を丁寧に聞き取る問診が不可欠です」。スクリーニングには、新潟大が作成した簡易問診表が広く使われている。
治療としては、抗うつ薬による薬物治療、前庭リハビリテーション(平衡訓練)、認知行動療法(精神療法の一つ)などの有効性が報告されている。さらに同大学では、体のバランスの崩れを音(聴覚)刺激で患者に伝え、視覚刺激から生じる過剰な反応を軽減する感覚代行治療など、PPPDの病態に基づいた新しい治療の研究を進めている。
「PPPDは治療できる病気です」と強調する堀井教授は、「原因不明のめまいで悩んでいる人は、日本めまい平衡医学会が認定するめまい相談医を受診してください」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2025/03/04 05:00)
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