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◇花粉飛散時期の頻発に注意
「基本的にアレルギーのある人の細胞であれば、スギ花粉のような原因物質が接触すると炎症という形でアレルギー反応が起きる。より敏感な粘膜が外気にさらされる眼球や鼻腔(びくう)では多くの人が自覚するほど激しい症状が出る。皮膚でもやはり、同様のアレルギー性の炎症が起きる」。横浜市神奈川区で皮膚科クリニックを開業している野村有子院長はこう指摘する。
アトピー性皮膚炎でも、花粉の飛散が激しくなる時期に病状が悪化する患者は少なくないが、アトピー性皮膚炎以外でも花粉が飛散する時期に頻繁に皮膚炎を起こす場合、この花粉皮膚炎を疑う必要がある。主な症状は刺激を受けやすい目の周囲や頬(ほお)を中心とした皮膚に生じるかゆみや赤み,灼熱(しゃくねつ)感などで、患者にとっては結構つらい。
治療としては、アレルギー反応を抑制する抗ヒスタミン剤を服用する。さらに炎症が起きた部分には、数日から1週間程度炎症を抑えるステロイドを含んだ軟こうと皮膚の状態を安定させる保湿剤を塗る治療も並行して進める。ただ、一度炎症が治まっても、花粉が飛散している間はいつ再発してもおかしくないので、内服治療と保湿のためのスキンケアは続ける必要がある。
◇外からの刺激を避ける
予防や症状を軽く抑えるには、花粉と皮膚の接触を減らす。皮膚の露出の少ない服装を選び、帰宅時にはブラシなどで服に付着した花粉を落とす。帽子やめがね、マスクなどを活用したり、花粉の付着を避けるために洗濯物の部屋干しを徹底したりする対策も、鼻炎の場合と変わらない。また、顔など露出部は保湿ケアも徹底する。
「保湿に努めるといっても、皮膚への刺激を抑えるため、しみたりひりひりしたりする化粧品の使用は避けてほしい。特に炎症が起きている間は、刺激の少ない保湿剤のみのシンプルケアにして、それでも治まらなければ早めに皮膚科を受診してほしい」と、野村院長はアドバイスする。
◇症状激しくなる前に治療
後藤准教授によると、少し寒さが戻ると飛散量が減って一時的に症状が治まる。治療を受けなくなったり、服薬を止めてしまったりする患者も出てくるという。
しかし、後藤准教授は「一度症状が出ていることは間違いないし、長い目で見れば、本格的な飛散によって花粉の飛散量は増え、それに応じて症状も激しくなる。激しい症状が出る前から治療を始め続けた方が、効果は安定する」とした上で、「ヒノキの花粉も考えれば、ゴールデンウイークまでは治療が必要。そう考えてほしい」と話す。(喜多壮太郎、鈴木豊)
(2018/03/18 16:00)
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