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高齢者は日常生活の活動量減少による食欲低下などから、食事を十分取らず低栄養状態に陥りやすい。その結果、全身が弱って外出することが難しくなる「フレイル」=用語説明=や、筋肉量が減少する「サルコペニア」になるケースもある。フレイルやサルコペニアの認知度は低いが、日常生活に大きな影響を与え、寝たきり状態を招く恐れもあるため、決して軽視できない。
フレイルやサルコペニアの症状は、加齢による全身の機能低下が目立つ75歳以上の高齢者で問題になっていた。しかし近年、糖尿病や慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性心不全、肝機能障害などを患っている人の場合、50~60代でも前駆的な「プレフレイル」「プレサルコペニア」の症状が見られる。このような状態にどう対応したらよいか、専門医や管理栄養士に聞いた。
◇大事なのは全身状態
一般的にはあまりなじみのないフレイルには、数値化され統一された判断基準はない。ただ、注意すべき複数の項目が提唱されている。主なものとして、①意図せずに年単位で生じた一定以上の体重減少②強い疲労感③歩く速度の低下④握力などの筋力低下⑤日常の歩行や家事など活動量の減少―などが挙げられている。このうち、該当するのが3項目以上ならフレイル、それ未満であれば、注意が必要なプレフレイルとされている。
しかし、実際にフレイルやサルコペニアの兆候があっても、医療現場で施せる治療は少ない。「基本的には、十分な栄養の摂取と散歩など低負荷の運動の励行が一番の対策だ。その意味では介護分野との連携が重要になってくる」と羽生教授は話す。このため「介護予防」「転倒予防」などを目的に地域で開催されているイベントに参加してもらうことも有効だ。羽生教授は「フレイルやサルコペニアは、適切な対応を取れば回復することができる。できるだけ早期に発見して対応することが大切だ」と指摘する。
(2018/06/03 16:00)
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