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せきやたんなどの軽い症状で始まるが、治療しないままでいると呼吸不全も起こしかねない「肺非結核性抗酸菌症」。非常にゆっくり進行するため気付きにくく、感染した菌の種類によっては治療が長引くこともある。せきがなかなか改善しない場合、この病気を疑ってみることが大切だ。
▽患者数が急増
肺非結核性抗酸菌症は結核菌に似た非結核性抗酸菌(NTM)が肺に感染して起こる病気だ。NTMは土や水中など自然環境に広く生息し、浴室などからも検出されるありふれた細菌だ。種類は160以上あり、国内では40種類ほどが感染症の原因となることが確認されている。
近畿中央胸部疾患センター(堺市)呼吸器内科・感染症内科の鈴木克洋統括診療部長は「NTMの中でも『MAC(マック)菌』と呼ばれるアビウム菌とイントラセルラーレ菌という2種類の菌による感染症が急増しています」と指摘する。
▽浴室は清潔に
MAC菌が肺に感染する肺MAC症は、最初は自覚症状がないものの、進行するに従ってせきやたん、発熱、倦怠(けんたい)感などが表れる。肺の炎症が進むと、血の混じったたんや喀血(かっけつ)などの症状を引き起こす。「治療しないままでいると呼吸不全を起こし酸素吸入が必要になることもあります」と鈴木統括診療部長。
感染が疑われる場合には、胸部レントゲン検査や血液検査に加えて、たんの中の菌を調べて原因菌を特定する。治療では複数の抗菌薬を服用するが、症状が治まって原因菌がたんから検出されなくなった後も、再発を防ぐため、さらに1~2年は薬を飲み続けなければならない。
肺MAC症を予防するには、浴室を換気しながら掃除し、清潔に保つことが大切だ。この菌は乾燥に弱いので、浴室の掃除後、浴槽からシャワーヘッドまで十分乾燥させる。土ぼこりに混じった菌を吸い込まないよう、土いじりはできるだけ避けたい。
「2週間以上せきが続く場合は、風邪と決め付けず、呼吸器科や内科を受診してください」と鈴木統括診療部長は呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2018/09/11 10:43)
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